いわゆるどんぶり勘定から各種数字の要因を把握するきめ細やかな事業所への脱却 | よろず支援拠点全国本部

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いわゆるどんぶり勘定から各種数字の要因を把握するきめ細やかな事業所への脱却

1990年代に先代が土木工事業を設立したが、東日本大震災により事務所や車両を含め、資産の殆どを失った(一瞬にして債務超過へ転落)。その後、一度は廃業を考えたが、既往の取引先にも支えられ、仮設事務所を開設し再起を図る。さらに、現在の場所へ事務所を新築・移転と共に現社名へ改称し本格的に再始動。地域に根差し約30年、高い技術力を誇り一貫して土木工事業に邁進している。現在は、息子である二代目が後を継いでいる。

公開日: / 都道府県:宮城県 業種:建設 課題: 価格転嫁

非公開

住 所:非公開

1990年代に先代が土木工事業を設立したが、東日本大震災により事務所や車両を含め、資産の殆どを失った(一瞬にして債務超過へ転落)。その後、一度は廃業を考えたが、既往の取引先にも支えられ、仮設事務所を開設し再起を図る。さらに、現在の場所へ事務所を新築・移転と共に現社名へ改称し本格的に再始動。地域に根差し約30年、高い技術力を誇り一貫して土木工事業に邁進している。現在は、息子である二代目が後を継いでいる。

公開日:
都道府県:宮城県/業種:建設/課題:価格転嫁

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住 所:非公開

目次

  1. 現状
    三陸海岸で巨大津波に遭った被災企業が再起を図る
  2. 課題
    コロナ禍と公共事業依存からの脱却に向けて
  3. 支援内容
    真の利益確保、骨太企業へ向けた対策-末端の従業員までコスト意識の徹底と請負先のさらなる拡充-
  4. 支援の成果
    決して気を抜かないこと、継続は力なり

現状
三陸海岸で巨大津波に遭った被災企業が再起を図る

当拠点で「価格転嫁」を題目としたセミナーを開催、そこへ社長夫人である取締役が参加された。業種柄、地元の復興需要に支えられ比較的順調に業績を回復してきたが、その需要にも既に陰りが出ていること、また折からのコロナ禍が重なり、事業の先行きに大いに不安を感じていた。それまでの好循環が震災の復興需要という外的要因であることは理解しつつも、現場の忙しさにかまけ、肝心の原価管理等は疎かになっていた。

課題
コロナ禍と公共事業依存からの脱却に向けて

相談者(社長夫人で財務担当の取締役)は、経理を主体とした事務面全般を担当していた。この時点では、この規模の事業所にありがちな、資金繰りや原価管理等を含めた財務面までの知識には乏しく、単に伝票や帳簿類を纏める事務担当者レベルであった。そんな中でも、相談者は自社の先行きに大いに不安を感じており、その要素は被災地における(インフラ整備を主体とした)震災需要の先細り、コロナ禍における公共事業の低迷に起因していることを整理・把握した。一方、財務諸表の提示を受けたが、さらにその詳細を把握するために、相談者の顧問税理士に同席いただき、数字の内訳をヒヤリングした。上記を踏まえて近年も増収ではあるものの、肝心の利益は毎期前年並みに留まっており、内訳はむしろ本業である営業利益の確保は儘ならず、雑収入(各種補助金や利子補給等)にて何とか確保されているという実態としては心細い状況であることがわかった。結果として、取引先(元請け)への価格交渉が手付かずの状態になっており、それが利益の圧迫・非効率化の起因となっている。

支援内容
真の利益確保、骨太企業へ向けた対策-末端の従業員までコスト意識の徹底と請負先のさらなる拡充-

COは、取引先に対する請負価格の増額交渉のため、その根拠・材料となる資料の作成を提案。相談者は、近年の上昇が主だった材料費、労務費、燃料費等を踏まえ、コロナ禍以前まで遡りその推移表を作成した。資料を作成して行く中で、過去においては、元請け先で作成していた工事完了時の書類を代わりに相談者自身で作成していたことに気付く。このような、相談者にとっての負担増加に関しても価格交渉の材料とした。また、公共工事が主だった受注先を分散し、民間工事の営業にも力を注ぐこととし、今まで目を向けてこなかった民間の外構工事等にも進出した。さらに、こうした相手のある交渉以外に、自社で出来る販管費の適正化にも着手。金額は小さいものの、消耗品やリース契約の見直しに取り組みつつ、販管費を圧縮していく中で、相談者自身が役員報酬削減のために勤務時間を減らし、その分を賄うためにパートに出ることを決意した。これにより、役員が率先して事業立て直しへの覚悟を示し、社外からの収入を得ることで自らの生活費を確保した。

支援の成果
決して気を抜かないこと、継続は力なり

資料を作成し、取引先への交渉に臨んだが、結果として今般の請負額増加には繋がらなかった。しかし、支援当初から伝えていたように、今後も交渉を繰り返すことが大事であることを相談者と再確認した。価格転嫁の目線は、相談者における販管費の見直しにも役立つことを再確認出来た。積算した請負額だけではなく、原価(粗利)率を意識出来るようになった。

事例を振り返って

価格交渉も大事であるが、既往取引が解消されては本末転倒であることから、交渉にはくれぐれも慎重を期すようアドバイスした。また、今まで交渉には参加していなかった取締役でもある相談者の夫人も同席し、相談者の本気度合いを示すようにアドバイスした。さらに、交渉が一回で成功するとは限らない、今回がダメであっても繰り返すことが重要であること、交渉のタイミングも大事であり、例えば、決算期や年度末等区切りの良い時期には、資料を持参し必ず交渉を行うことも提案した。加えて、既往の取引先にこだわらずに新規開拓を常に念頭に置くことで、交渉の良し悪しや、現場毎の相場観等も養うことが出来ること、原価管理は当然ながら、販管費の見直しにも常に目を配ることをアドバイスした。

相談者の声

各種「金額」を意識することが多く、各種項目の売上額に対する「比率」まで意識することが出来ていませんでした。本件のようなことを意識しているのは私(相談者)だけで、それを社長はじめスタッフ全員に落とし込むことが重要であることを認識しました。今回だけの意識改革だけではなく、これを今後も継続することが一番大事であることが分かりました。

支援した拠点

宮城県よろず支援拠点

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