まちの珈現豆卸からメーカーへの転身 BtoBからBtoCへの移行が売上向上につながる
昭和43年創業の老舗珈琲店。珈琲焙煎士が自社工場で焙煎した珈琲豆を、三重県内外のレストランやホテル、カフェ、法人などに卸すほか、インターネットを利用した通信販売、直営店での店頭販売や喫茶事業を行う。豆の鮮度や味わい、焙煎法にこだわり抜いた珈琲を届けることに努めている。
代表者:阿竹 実(あたけ みのる)
住 所:〒514-0815 三重県津市藤方1574-5
連絡先:059-225-0753
同社は、もともと三重県内の喫茶店などの飲食店に珈琲豆を中心に食材卸を行っていた。一時期は1,000店舗以上との取引があったが、個人喫茶店の減少により売上が低迷。売上を補うべく珈琲以外の食材や冷凍食品の構成比率を高めていた矢先に先代が急逝、現社長が後を継いだ。大型焙煎機の稼動率を上げ珈琲の販売増加と商品開発を検討する中で、三重県産業支援センターの相談窓口に来訪、同センター内の当拠点にてCOが相談に応じた。
近年のコンビニエンスストアでの100円珈琲の登場や、競合チェーン店の台頭により個人喫茶店は減少。その結果、低収益の食材や冷凍食品の販売構成比率が高まり赤字覚悟の状態に陥った。対策として直営店経営に乗り出したが、人件費などの経費に圧迫され思うような利益を出せなかった。担当COは、まずは各部門の収支を明確にし、儲かることに徹する経営を目指すことを相談者と話し合った。現在では食材や冷凍食品の販売構成比率は3%程度。それに伴い利益率も向上、安定的な収益を確保している。
COは、昨今のトレンドから推察するに、珈琲豆の新規参入が増えていると判断。社長が流通における販路開拓などの経験があることから、「地元喫茶店の珈琲をご家庭で!」をキャッチフレーズに珈琲豆を「津焙煎」として販売を行うことを提案。まずは地元の高級路線を展開しているスーパーとの商談を成立させ、販売を開始することに。さらに県内の量販店に取扱を広げ地域ブランドの確立に成功。またマスコミなどへのアプローチや商品流通が滞りなく進むようアドバイスを行った。
新商品「津焙煎」の夏用商品として、濃縮タイプのカフェオレベース、津焙煎アイスコーヒーなどを販売し、年間を通じての商品展開が行えるラインナップを展開することができた。コロナ禍で中小零細喫茶店向けの販売は半分程度に減少しているものの、開発した新商品は売上全体の2割を占め、安定的な売上を獲得した。加えて大手ホテルなどへの提供と合わせた新分野での事業売上が全体売上の50%を占めている。コーヒー販売の分野では年間販売35,000kgで県内トップの出荷量となり、今後はネット販売などでさらなるブランド化を推進していく。
マーケットが変化する中で、自社の置かれている環境を客観的に捉え、時代に合った事業や商品を作り出し、市場に送り出していこうとする相談者の姿はとても素晴らしいと思います。そういった取組の中のどのフェーズにおいても、こまめに情報をいただき、アドバイスに努めました。
COとの出会いには運命的なものを感じます。商品開発から販売先、流通関係への知識や人脈だけでなく、経営全般において何が必要で何が不要かを適切にアドバイスいただいています。経営者としてはまだまだだと感じていますので、今後もお付き合い願えればと思います。