事業承継とともに事務処理のIT化を支援 業務効率も売上もアップ!
昭和51年に、篠原国雄氏が個人事業主として創業した生花店。娘の榊原幸子氏(相談者)が現代表。花持ちの良さとアレンジメントの豊富さで地元客に愛され、堅実な経営を行っている。従業員は国雄氏と妻、社員の3名。約9割が個人の顧客、残り1割が企業・施設などで、ほぼ固定客である。人柄の良さと顧客目線の接客が高い評価を受けている。
代表者:榊原 幸子
住 所:〒865-0051 熊本県玉名市繁根木184-2
連絡先:0968-74-4671
堅実に経営を行ってきたものの、創業から45年が過ぎ、国雄氏が70代と高齢となったため、実娘である相談者は2年ほど前から事業承継を考えていた。しかし、2児の母でもある相談者は、目の前の仕事や育児に追われ、どこに相談すればいいかもわからないまま月日が流れていた。令和4年7月、金融機関の当時の担当者から「よろず支援拠点に相談してみては」と背中を押され、その担当者と一緒に当拠点を訪ねて、今回の相談に至った。
財務内容には特に問題がなく、金融機関からの借入もない。両親ともに事業承継には前向きであるため、相談者本人に「経営者には安定的に事業を存続させる責任があり、仕入れや売上管理、新規営業方法などの経営知識の構築が大事になる」とアドバイスした。また、業務時間外の伝票集計に時間がかかり、残業が発生して生活時間を圧迫していたため、POSレジの導入、インボイス制度や電帳法に対応した会計ソフトの導入が急務であった。具体的には、事業承継の手続きに加え、事業収益向上のための事務処理効率化と労働生産性向上、経営の見える化(日々の経営状況把握、資金繰り、商品原価管理・適正な値決め)などが改善すべき課題であると確認した。
確定申告の兼ね合いで、事業承継は令和5年1月1日とすること、国雄氏の廃業と相談者の新規開業を税務署に届け、社会保険か国民保険かを選択することをアドバイス。金融機関の担当者も、借入がなく経営も安定しているため、承継を支援する方針であった。また、業務効率化のためPOSレジアプリと会計ソフトの導入に当たっては、ITを専門とするCOが支援。実際にツールを操作して、簡単で便利であることを体感し「自分でもやれる」と自信をもってもらえたことは大きな前進であった。
ITツール導入により、伝票処理による残業がゼロになり、業務時間が短縮。営業・配達などに時間を費せるようになった。売上も、事業承継の翌月以降は前年を大幅に超え、コロナ禍前の売上水準に達する見込みとなった。さらに、売上や客数、客単価、購入履歴、預金残高といったデータの「見える化」で経営管理の仕組みも構築。今後は店頭売上アップによる経営力向上への支援を行っていく。
・ITツール導入に不安をもつ相談者に、その必要性を丁寧に説明
・約5カ月という短期間での承継のため、手続きに過不足がないよう留意
・導入に当たってはITを専門とするCOが支援
事業承継から半年が過ぎましたが、おかげさまで順調に経営ができています。特に、レジと事務処理をIT化することにより、毎日の売上や売れ筋商品の把握、会計処理など今までできなかったことができるようになり、そこにかかる時間が大幅に削減できました。本当に感謝しています。ありがとうございました。