コロナ禍に苦しむ観光レストランが事業再構築に挑戦した末、全国区での人気洋菓子屋への転身に成功 | よろず支援拠点全国本部

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コロナ禍に苦しむ観光レストランが事業再構築に挑戦した末、全国区での人気洋菓子屋への転身に成功

相談者は複数の業態での勤務を経て、平成14年に宿毛市内で軽食喫茶店を開業。平成19年に大月町にある「道の駅ふれあいパーク大月」内にて2店舗目としての観光レストランを出店した。令和元年からは、自家製のケーキをテイクアウトで販売するほか、大月町ふるさと振興公社が運営している通販サイト「おおつきマルシェ」でも販売している。また、大月町のふるさと納税の返礼品では、スイーツ部門で全国ランキングの上位を獲得しており、人気が高くリピーターも多い。

公開日: / 都道府県:高知県 業種:宿泊・飲食 課題: 事業再構築

有限会社ジェイ&エムズ

代表者:細川 さおり(ほそかわ さおり)
住 所:〒788-0302 高知県幡多郡大月町弘見3967番地66
連絡先:0880-63-2362

相談者は複数の業態での勤務を経て、平成14年に宿毛市内で軽食喫茶店を開業。平成19年に大月町にある「道の駅ふれあいパーク大月」内にて2店舗目としての観光レストランを出店した。令和元年からは、自家製のケーキをテイクアウトで販売するほか、大月町ふるさと振興公社が運営している通販サイト「おおつきマルシェ」でも販売している。また、大月町のふるさと納税の返礼品では、スイーツ部門で全国ランキングの上位を獲得しており、人気が高くリピーターも多い。

公開日:
都道府県:高知県/業種:宿泊・飲食/課題:事業再構築

有限会社ジェイ&エムズ

代表者:細川 さおり(ほそかわ さおり)
住 所:〒788-0302 高知県幡多郡大月町弘見3967番地66
連絡先:0880-63-2362

目次

  1. 相談のきっかけ
    「事業再構築補助金」を活用した新たな試み
  2. 課題把握・設定
    綿密な経営分析をもとに事業の再構築を検討
  3. 課題解決に向けた支援内容
    地域特産品を活かした商品開発体制
  4. 支援の成果
    「カフェのスイーツ」への思いを込めて

相談のきっかけ
「事業再構築補助金」を活用した新たな試み

観光レストラン事業から撤退し喫茶店を改修して、カフェスイーツの外商に挑戦

相談者は、人口5,700人の大月町にある道の駅にて、観光レストランと軽食喫茶店の2店舗を20年にわたり経営していた。観光レストランが売上の7割を占めていたが、近年は経営が思わしくなかった。令和元年、従来から支援を受けていた地元の大月町商工会とともに、当拠点が支援に加わり、売上拡大に向けた施策を続けたことで、経営は改善方向に向かっていた。しかし、令和2年以降のコロナ禍により、観光レストランおよび喫茶店ともに、大きな影響を受けた。令和3年12月、「事業再構築補助金」の予算化をきっかけに、事業の再構築を検討し始めた。相談者の構想は、「観光レストラン事業から撤退し、喫茶店を改修して、カフェスイーツの外商に取り組む」ということであった。具体的なアドバイスを求め、相談者は再度当拠点に相談に訪れた。経営が厳しい状態で売上の7割を占める観光レストラン事業からの撤退、および新規事業への転換は大きな決断であり、確実に成功させるためには、具体的な事業戦略と事業計画、そして相談者自身の決意を醸成することが必要であった。

課題把握・設定
綿密な経営分析をもとに事業の再構築を検討

地域特産品の市場開拓と地域特産品スイーツ店としてのブランド化

CCOは、地元商工会経営指導員とともに、コロナ禍が長期化したときの収益シミュレーションを含めて経営分析を綿密に行った。併せて、観光レストランで販売していたカフェスイーツが県外流通で競争力のある商品になれるかを検討した。さらに、相談者が事業を立ち上げたきっかけをはじめ、商品に対する思い入れ、ありたい姿への気づき、お客様へのヒアリングに基づく事業に対する内なる思いなどを引き出すための傾聴と対話を続けた。それにより、相談者が手がけるカフェスイーツは、味、デザイン、価格のいずれにおいても顧客の評価が高いことが確認できた。それとともに、冷凍流通が可能であることが、外商展開をしていく上で強みになることも明らかになった。相談者は、 CCOと何度も協議し熟考した結果、観光レストランを撤退し、別店舗の喫茶店を改修して菓子製造業への業態転換を決断した。また、事業再構築を成功させるため、「地元の特産物を使った商品の開発」「地域特産品の市場開拓」と「地域特産品スイーツ店としてのブランド化」という3つの課題を設定した。

課題解決に向けた支援内容
地域特産品を活かした商品開発体制

地域の関係機関を巻き込んだ商品開発と販売促進を展開

CCOは、相談者の事業再構築に向けて、スイーツで全国展開していくためには、地域を背負った特産品としてのブランディングが必要であると考え、「ふるさと納税」から始めるように提案した。これを踏まえ、相談者は人気のある「バスクチーズケーキ」に地元宿毛市のフルーツを掛け合わせることで、地域色のあるスイーツの開発を進めた。またCCOは、宿毛市役所、宿毛市観光協会、宿毛商工会議所と連携して、地域特産品の商品開発と販売を支援する体制を築いた。「ふるさと納税」の商品紹介ページにおいて、市役所やデザイナーに対してCCOは的確なアドバイスを行い、売れる体制を構築した。また、菓子製造業として安定した商品の質と量を供給するために、喫茶店の改修と設備導入を行う資金を調達するべく、事業再構築補助金の採択に向けて、大月町商工会の経営指導員とともに支援した。「ふるさと納税」における販売の好機を逃さないように、事前着工で工事を進めるなか、半年間かけて作成した事業計画が、事業再構築補助金の2次募集で採択され、店舗の改修費を獲得でき、令和3年7月に改修工事が完成した。

支援の成果
「カフェのスイーツ」への思いを込めて

菓子製造部門だけで、毎月200万円の売上を継続して計上できるまでに成長

宿毛市の「ふるさと納税」を通じたスイーツの販売は令和3年9月から展開した。約2ヵ月後の11月には早くもあるポータルサイトでランクインしたことから、1 2月 の注文件数は6,000件にまで上り、その後も継続して注文を得ている。これによって、令和3年12月から令和4年11月まで菓子製造部門だけで毎月200万円の売上を継続して計上することができた。繁盛の背景には、相談者が発送するケーキひとつひとつに手書きのお礼カードを添えるなど、ケーキそのものの価値に加えて、顧客の心に響くサービスを心がけている点が見逃せない。一方、令和3年5月に観光レストラン部門を撤退したことで、大幅なコスト減を達成することができており、令和4年1月から単月収支が黒字に転じ、令和4年11月までこの状態を維持拡大している。今後は、利益率の高い商品を開発することで、量販店へ向けた外商拡大をめざすべく、第2フェーズの段階に進む考えである。ただし、相談者としては、事業をやみくもに広げるのではなく、あくまで「カフェのスイーツ」というコンセプトを大切にしていくという。

事例を振り返って

事業の再構築は、大きな決断であるため、内なる思いやありたい姿に本人が気づけるように傾聴と対話に十分配慮しました。信頼関係を築いている地元商工会の指導員に常に同席してもらい、会社をはじめたきっかけや、商品に対する思い入れ、お客様の声などを共有したことも事業者のサポートになったと考えています。そして、相談者が物販や飲食店で勤務してきた経験を活かして、商品を届ける先のお客様のことを思い描いて、サービス向上に努めた点も成功要因の一つです。また、特産品開発とふるさと納税での事業展開は、地域役場や関係団体とのビジョンや意識の共有が重要であるため、関係機関とのフォローアップやアクションプランの共有に注力しました。

相談者の声

コロナ禍で観光レストランの売上が急減したときは、「もうだめか」と思ったほどです。これに対して、「事業再構築補助金」の件も含めて、事業の再構築に向けて親身になって支援していただいた結果、新たな事業のもとでさらなる成長をめざすことができています。CCOと大月町商工会の経営指導員のお二人には毎月、当社の試算表をチェックしていただき、その上で的確な助言をいただいており、いつも導いていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。今後も補助事業で申請した計画に沿って、がんばっていきます。また、宿毛市が事業者をサポートしてくれる姿勢にも何とか応えていきたいと思います。引き続き、伴走した支援をお願いいたします。

支援した拠点

高知県よろず支援拠点

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