バーベキュー課を立ち上げた地元ファンづくりが社員の「やりがい」も高める | よろず支援拠点全国本部

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バーベキュー課を立ち上げた地元ファンづくりが社員の「やりがい」も高める

ブラジル人に向け、ブラジル食材を製造・販売していたが、リーマンショック以降帰国するブラジル人が増加。売上げが6割減に落ち込み、窮地に追い込まれた相談者。日本市場に向け、パーティーやバーベキューでの利用シーンを全面に打ち出し復活を目指す。

公開日: / 都道府県:神奈川県 業種:宿泊・飲食 課題: 売上拡大

株式会社ラテン大和

ブラジル人に向け、ブラジル食材を製造・販売していたが、リーマンショック以降帰国するブラジル人が増加。売上げが6割減に落ち込み、窮地に追い込まれた相談者。日本市場に向け、パーティーやバーベキューでの利用シーンを全面に打ち出し復活を目指す。

公開日:
都道府県:神奈川県/業種:宿泊・飲食/課題:売上拡大

株式会社ラテン大和

代表者:
住 所:

目次

  1. 在日ブラジル人の減少で廃業寸前に
  2. 目指すべき方向と自社の魅力の把握不足
  3. 食材がもたらす体験をメッセージ
  4. イベントは大盛況メディアでも話題に

在日ブラジル人の減少で廃業寸前に

在日ブラジル人をターゲットに、ブラジル食材を製造・販売するラテン大和。順調に経営を続けてきたが、平成20年のリーマンショックで在日ブラジル人の働く環境が激変。在日ブラジル人は減少の一途をたどる。これにより売上げが6割減に落ち込み廃業も考えた相談者だったが、日本人向け市場の開拓に望みをつなぎ、新商品を開発した。
販売に当たり、神奈川産業振興センター内のデザイン相談室に、パッケージの相談に訪れたところ、デザイン室の担当者がデザインの前に、会社の強みや特徴、ターゲット設定等基本的なところが明確化されていないことを心配し、当拠点のコーディネーター(以下CO)に話をつないだ。

目指すべき方向と自社の魅力の把握不足

相談に対応したCOは以下の課題を抽出した。まずは、これまで日本市場に向けた営業を強化してきたが、ターゲットの明確化と具体的な利用シーンの提案ができていないため、先行商品との差別化ができていないこと。日本市場に打ち出すコンセプトやビジョンが言語化されていないため、目指す方向が全社員に共有できていないこと。商品の訴求では、ブラジル式腸詰生ソーセージや、日本ではなじみの薄い渦巻き状の粗挽き本格生ソーセージを、自分たちの手で一から丁寧に作っているという希少価値が発信できていないことが上げられた。
こういった背景からCOは、日常での食事というより、パーティーやバーベキュー等での利用シーンを前面に押し出していく必要があると分析した。

食材がもたらす体験をメッセージ

販路拡大に向け、工場直売所を起点に地域住民にファンになってもらうことを目標に掲げ全社員で取り組んでいくことを提案。直売所運営の女性社員3人を中心に、営業責任者を交え、COがファシリテイションしながらミーティングを重ねた。
そこでキーワードとしてあがったのが、「エンターテイメント食品加工業」と「営業ゼロの営業戦略」。食材を売るのではなく、この食材を通してどんな体験を生み出していけるかの取組みをエンターテイメントと定義。これによりファンを作っていくことで営業しなくても買いたいと言ってもらえる究極の目標を掲げた。具体的なターゲットを、アクティブにバーベキュー等を楽しむ若い家族、学生、社会人グループとし、日本人にはなじみの薄い、渦巻き状の「リングイッサ」を中心に、日本のバーベキューを盛り上げる逸品という立ち位置を明確にした。
また、社内に「バーベキュー課」を設置し、バーベキューファンに訴求していくことを提案。プレスリリース、SNSを通した情報発信も勧めた。
これを受け、社内に新たな課、「バーベキュー課」を立ち上げ、主たる女性社員3人を配属。SNSやホームページ、ネット販売の環境を整え、ファン作りに向けた情報発信をスタートさせた。さらに、工場前の広場を使い、地域住民に向けた「ありがとう飲食会」を全社員参加のもと開催した。

イベントは大盛況メディアでも話題に

 

「ありがとう飲食会」には、綾瀬市長をはじめ1日で200名強の参加者を迎えることができ、1日だけで工場直売所の2ヶ月分の売上げを達成した。
情報発信の成果として、地元テレビ局や雑誌などの取材依頼、綾瀬市役所のロビーの売店からも新商品を扱いたいと引き合いがあるなど、地元でのファンを着実に増やしている。相談者は「地域の皆さんにどんな喜びを提供できるか、全社員でチャレンジしていく」と前向きに語った。今回のユニークな取り組みにより「やりがい」を見出し、若手社員の活躍の場を作ったこと、縦割りをなくし、フォローし合うことで「人」の生産性を上げ人手不足の解消にもつながっている。

支援の流れ
01
ブラジル人の減少で 売上げが6割減に落ち込み 廃業の危機に
02
日本市場の開拓に挑むも、 ターゲットの明確化、 利用シーンの提案が できていない
03
パーティー、 バーベキュー等での 利用シーンを押し出していく 方向性を助言
04
バーベキュー課を 立ち上げる等の ファン作り戦略が功を奏し メディアで話題に
支援した拠点

神奈川県よろず支援拠点

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