新メニューの開発・販売支援で売上10%増
経営改善計画書策定で資金繰りも安定化
相談者が営む大衆食堂店は、全盛期は団体利用も多く賑わいを見せていたが、景気低迷や社会環境の変化を受けて宴会客が減少。それに伴い売上が年々減少傾向にあった。長期運転資金の返済財源が乏しくなった結果、3年前からリスケジュールにより元金返済の減額を実施。厳しい資金繰りに思い悩んでいたところ、取引金融機関からも経営改善計画書の提出を求められた。相談者一家が独学で経営改善計画書を勉強していた折、「決算書の見方」をテーマとする当拠点主催のセミナーを知り受講。ひっ迫した資金繰りをどうにかしたいと、さらにアドバイスを求めて当拠点へ訪れた。
Coは、昼・夜のメニュー別売上状況、客層、客数、客単価、周辺の競合店舗の状況等をヒアリング。常連客には男性や中高年層が多いことが大きな特徴となっていた。また、昔からメニューが変わっていないこと、季節によって集客にバラつきがあること、特に夏は売上が下がる傾向にあることが分かった。さらに近隣店を意識した低価格設定が材料費等のコストに影響を与えた結果、料理自体の魅力が下がってきているのではないかと仮説を立てた。これらの状況を踏まえ、経営の改善に向けて「メニューの見直しと開発をメインに魅力的なお店づくりに取り組むこと」を課題とした。
Coは細かいコスト削減の数値の詰めよりも売上低迷から脱却するためのアクションプランを重視すべきと確認。まずは最優先事項として、男性・中高年層の常連客の来店頻度を増やすべくメニューの見直しと開発を実施し、売上減少に歯止めをかけることを提案。具体的には、暑さ対策メニューといった夏場の売上減少対策や周辺の競合店舗との差別化メニューの開発をアドバイス。また、効率的な店舗運営方法についても食材の共通化を図って食材ロスを抑えること、段取り改善やお客様の状況に応じて調理順・時間を考慮すること、などを助言。加えて、インターネットを活用した販促活動に強いCoとも連携し、グルメ情報サイトに掲載することも提案した。また、相談者は、これらの提案を着実に実施していく一方で、借換融資の実行に向けCoのアドバイスを基に経営改善計画書の作成も開始。
相談者は、経営改善計画書のアクションプランにもとづいたメニューの見直しと開発、テストマーケティングを行うことで、少しずつ売れることを実感し、開発に一層精力的に取り組むことになった。写真を店内およびネット、グルメ情報サイトに掲載した結果、男性客や常連客の来店頻度も高まり、売上が落ち込んでいた夏場の7月~9月の客単価が向上、平均売上高が10%程増加した。また、策定した経営改善計画書が認められ、7年返済の借入金が15年返済に延伸。さらに借換融資が実行され資金繰りが安定化した。