伝統工芸品を使ったこども用茶道具の開発による新市場の開拓 | よろず支援拠点全国本部

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伝統工芸品を使ったこども用茶道具の開発による新市場の開拓

石川県の伝統工芸を使って介護施設の利用者を、メインターゲットにした新商品「干支ゲーム」を開発したいと思うようになった相談者。介護施設に販路がない中、まずは実績のある幼稚園などを販路とする商品開発に取り掛かる。

公開日: / 都道府県:石川県 業種:小売 課題: 売上拡大

有限会社ハセガワ教材

石川県の伝統工芸を使って介護施設の利用者を、メインターゲットにした新商品「干支ゲーム」を開発したいと思うようになった相談者。介護施設に販路がない中、まずは実績のある幼稚園などを販路とする商品開発に取り掛かる。

公開日:
都道府県:石川県/業種:小売/課題:売上拡大

有限会社ハセガワ教材

代表者:
住 所:

目次

  1. 伝統工芸品を活用した新商品開発
  2. 社長の意思を伺い、事業の方向性を見極める
  3. こども茶道具セットが発明くふう展で入賞
  4. 少しずつではあるが売上げが伸び始めている

伝統工芸品を活用した新商品開発

堅実に本来の事業を継続していた相談者は、事業が安定してきたため、介護施設の利用者をメインターゲットにした新商品を開発したいと考えるようになった。具体的には、低度の認知症を患った高齢者が症状の進行を抑えるために、干支を模した人形を一定のルールで動かすという「干支ゲーム」の開発であった。人形には、石川県の伝統工芸である九谷焼や山中漆器の活用を検討、介護施設だけでなく、近年増加している外国人観光客用の土産物にも、という狙いだ。そこで相談者は、当拠点が開催したセミナーに参加。後日相談の申込みをし、来訪相談に至った。

社長の意思を伺い、事業の方向性を見極める

担当コーディネーター(以下CO)は、九谷焼、山中漆器の作成者を紹介してほしいという希望を、地元の観光資源にスポットをあてるものと考え、公的機関である石川県立九谷焼技術研修所(以下九谷焼研修所)と石川県立山中漆器産業技術センター(以下山中漆器センター)と相談者をつないだ。
一方で、今後の方針を検討するため、相談者の事業に対する想いをヒアリング。
ポイントとしては、幼稚園を固定客とする一方で、介護施設には確実な販路がないこと。相談者が茶道を嗜んでおり、地元で盛んな茶道を情操教育のためにも勧めたいと考えていたこと。県内に、茶道に関心のある園長が運営する、茶道教室を開設する幼稚園が複数あることを知っていたことが挙げられた。
これらの状況をもとに、「干支ゲーム」がデザインに要する費用負担や、具体的な販路開拓の課題があり、補助金等の公的支援を受けることを視野に入れ挑戦する必要があるとした。ある程度の需要が見込まれなければ、作家を見つけることは困難であるため、まずは実績のある幼稚園などを販路とする商品開発を優先的に行なう事を提案した。

こども茶道具セットが発明くふう展で入賞

九谷焼研修所から紹介された九谷焼作家と打ち合わせを行い、こども用抹茶椀として提供する複数種の図柄を決定。商品種類に応じた調達ルートを個別に紹介してもらい、販売可能な体制を構築。予算の区切りとなる年度末までに成約するよう、茶道に関心のある園長に具体的な営業活動を開始した。
さらには石川県産業創出支援機構主催のホームページ作成セミナーを受講し、ホームページを開設。今回開発した商品を「こども茶道具」「学校茶道用茶道具」として紹介するとともにネットショップで販売する体制を構築した。これらの結果、今回開発した「こども用抹茶茶碗(九谷焼)」「山中漆器こども用棗」「山中塗こども用茶筅」を1セットとする「こども茶道具セット」を、石川県発明協会主催の発明くふう展に出展したところ入賞することができた。
また、名産品に乏しい野々市市に新たな名産品になり得る商品を創り出してもらえないかとの打診があり、「干支ゲーム」を提案して、必要な試作の費用について公的支援を受けるために小規模事業者持続化補助金を申請した。

少しずつではあるが売上げが伸び始めている

 

こども用の茶道具は、初年度の試験販売として取り扱い、茶碗17個、菓子器3個、整理茶箱2個で約8万円を売上げた。「第27回全国椿サミット野々市大会」では、大人用抹茶茶碗4個、こども用抹茶茶碗2個、マグカップ2個で約3.4万円を売上げた。その後、園児が壊した茶碗の注文や、「椿」図柄の九谷焼皿などを想像以上に販売することができた。
「干支ゲーム」については、試作について持続化補助金の採択を受けたことや、事業者の堅実な取組みが認識されてきたため、幼稚園などを販路とする「お食い初めセット」などの新商品に対する事業者のアイデアとともに、九谷焼研修所と山中漆器センターから対応する作家を紹介してもらえるようになった。

支援の流れ
01
石川県の伝統工芸を使って介護施設の利用者向けの新商品「干支ゲーム」を開発を構想
02
作家とのマッチングのため実績のある幼稚園などを販路とする商品開発を優先
03
「こども茶道具」「学校茶道用茶道具」を開発。幼稚園への営業活動を開始
04
試験的に販売したこども用の茶道具で想定以上の売上げ。「干支ゲーム」の開発にも着手
支援した拠点

石川県よろず支援拠点

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