個性ある商品開発と地域密着戦略で酒販店の黒字化を実現
酒販業界全体が売上不振にあえぐ中、赤字経営に追い込まれた酒販店。起死回生の策となったのは 「コンテンツコラボ商品」の開発と「地域に根ざした取り組み」の強化だった。
代表者:市村 栄(いちむら さかえ)
住 所:茨城県結城市結城7056-1
平成10年には筑西市(当時)の本店以外に、100坪の広さを持つ結城店を開店し、一時は3億円以上の売上げを上げていた有限会社たまごや。しかし、全国的な飲酒量の減少や東日本大震災での被害などにより売上げが低下し、平成21年には本店を閉め、業績も赤字決算に転落してしまう。そこで、平成25年末に現在当拠点に在籍するコーディネーターと保証協会、金融機関が協力して経営改善計画の策定に取り組むことになった。当拠点が開設した平成26年夏には経営改善への道のりがスタートした。
同業者が年々売上を低下させる中、相談者も様々なコストの削減策に取り組んでいたため、支援の開始時点で削減できるコストは限定的であった。経営を立て直すには売上げの積極的な拡大が不可欠と判断された。
そこで当拠点では、アニメ、ゲーム等の絵柄やイラストを瓶のラベルにあしらった「コンテンツコラボ商品」の開発と、ビールサーバーのレンタルという、地域住民への浸透を売上対策の柱として提案した。
コンテンツコラボ商品では、相談者サイドで開発を進めていた「萌え酒」を活用することで道筋がついた。個人へのビールサーバーのレンタル事業は、リスクが少ないものの、同業者も参入していない全国的にも珍しいものであった。相談者が機械に強く、中古サーバーを修理することが得意であるという、強みを生かすことができることも大きい。
ほかにも、店舗の二階部分にデザイナーのワーキングスペースを設置し、誘致することを提案した。
「萌え酒」の開発では地元の行政や酒蔵とコラボし土産商品の開発を行った。また都内でイベントを開催し、認知度の向上にも努めた。ビールサーバー事業では、業界で不要となったビールサーバーを修繕して貸し出す体制を整え、顧客である個人への積極的な営業を展開。また同業者にもビールサーバー事業を提案して経営指導をするFC契約の締結を進めることに成功した。ワーキングスペースの活用では当拠点が「趣味の大学」の開催を提案。相談者は「みんなのたまご大学」を開講し、月に2、3回の講座を提供した。
「萌え酒」の開発を積極的に進めた結果、コンテンツ業界からもノウハウの高さを認められ、「萌え酒」以外でもゲームやアーティストなどとコラボ開発するまでに至っている。近い将来この事業は相談者の収益の柱となる見込みである。
ビールサーバー事業では、開始後2年で個人レンタル先40軒、FC店4店を開発。粗利ベースで1割以上を占める新事業となった。「みんなのたまご大学」は約1年を経て、地域の住民との関係が深まった。新規客の取り込みも図り、顧客数は開講前に比べ1割増まで達成する原動力となった。
「単に従来の酒類の販促活動の効果が薄くなる中、酒の購買以外のニーズを持つ層を開拓したことで、粗利の拡大につながった」と相談者は支援を通して得た成果を振り返った。