マスコミへのパブリシティ戦略が成功し 介護業界が注目、廃業寸前から奇跡の復活
平成16年、損保代理店の顧客向け自動車修理受託事業を開始。平成20年、修理委託先の事情で事業継続を断念後、独自開発の「運転技能向上DVD」の個人向けネット販売へ転換、10年で売上1億円を達成。その後転売リスク等を考慮しDVDの市販を中止、同じ内容を教材とした運転技術指導事業をBtoBで展開する。
代表者:山下 裕隆(やました ひろたか)
住 所:〒658-0015 兵庫県神戸市東灘区本山南町3-6-16-502
連絡先:050-3488-7298
相談者は、自身の父を介護した経験から、介護事業者が接触事故多発による修理費や、自動車保険の割増保険料の負担に悩んでいると知った。この負担減のために、運転技術指導で役に立てると思い、同業界への展開を決意。令和元年「介護事業者向けのDVDによる訪問運転指導」により経営革新計画承認を取得し、取組を開始するも、認知度向上ができないでいた。そんな折、当拠点の「集客アップの秘訣 自社のPRポイントプレスリリース作成セミナー」に参加したことをきっかけに、同事業の認知度向上について相談した。
同社の運転技術指導は、「すべての車両はハンドル操作に応じある軸を中心として回転し、その軸が障害物を1mmでも通過したら絶対に接触しない」という独自のメソッドを確立している。この考え方とメリットをいかに介護業界に認知してもらうかが課題だった。当初は、介護施設を訪問しDVDを視聴してもらい、営業活動を行う想定だったが、コロナ禍の到来によりそれが不可能となり、経営は大きな打撃を受けた。
訪問営業が制限されたなかで、COはマスメディアを通じたパブリシティの活用を提案した。同事業が持つ社会性をアピールし、それに『新しさ』『初』『一番』といった要素があれば、記者の耳目を集めることができると認識。またCOによるセミナーのグループ演習で「短く、かつ相手の心に刺さる言葉の選び方」を学んだ。そうした知識をもとに、COとともにプレスリリースの複数回のブラッシュアップをくり返し、質の高い完成版を用意した。
プレスリリースは令和3年11月に完成し、100社以上に送付した。相談者はネットで各マスコミ、さらにはフリー記者の連絡先を100件以上調べ、送付した。この努力が身を結び、Yahoo!ニュースや毎日新聞社(京都版・神戸版)などが取り上げた。反響は大きく、大手を含む全国200社以上の介護事業者からの問合せを受け、同社商品の社会性と介護業界での確実なニーズが同時に証明できた。現在はDVDによる研修から配信によるeラーニングへと仕組みを変え、引き合いのあった介護業界各社への売込みを進めている。
営業活動が困難となった相談者に参加いただいたセミナーで、プレスリリースの完成とともに自社のサービスの魅力を他の受講生からの評価等から客観的な視点で発見できたことが、再起するきっかけとなったと思います。さらにプレスリリースを速やかに発信し、多方面から問合せを得たという相談者自身の行動力が、素晴らしいと思います。
プレスリリースは想像以上の反響で、当時は問合せに対応するのが手一杯でした。廃業寸前ともいう追い込まれた状況に届いた“たった一通のセミナー案内”のメールが事業の運命を大きく変えました。父の介護から着想したサービスが、介護事業の収益改善と職員の待遇改善につながれば、社会的な意義も大きく、父も喜んでくれるでしょう。