コロナ禍の苦境をバネに物販に進出、 “味づくり”のノウハウが新分野で開花
飲食店を生家とするオーナーが、老舗である実家や修業先のお店の味を採り入れながら、独自の味を追求するラーメン店。広島市内の歓楽街に平成30年に開業。客単価の高い夜の時間帯に絞り営業する。焼肉店経営の経験と人脈を活かし仕入れた上質な牛肉を使う料理も好評。
代表者:中本 智一(なかもと ともかず)
住 所:〒730-0851 広島県広島市中区榎町1-29
連絡先:082-292-6616
開業以降順調に売上を伸ばすが、令和2年にコロナ禍が直撃。夕方に開店し、来店客のピークが22時から24時を通例とする同店は、緊急事態宣言発令などで休業を余儀なくされ、顧客離れが発生。開店しても、従来のような賑わいに届かない状況で、相談者は店舗での“待ちの営業”に限界を感じ、従来温めていたオリジナルの調味料「卵かけご飯のつゆ」の販売を決意。試作と試食で改良を繰り返しつつ、創業支援機関に相談したところ当拠点の紹介を受け、COは令和2年夏より支援を開始した。
相談者は店頭での直販では販売個数に限界があり、仕入れに一定のロット数が必要な容器などの原価を考えると収益化が難しいと考えていた。COは直販以外の販路を想定し、相談者の商品にかける想いやコンセプトをヒアリングしたうえで、商品化と販売に至る手順をわかりやすくレクチャーした。またCOは「商品コンセプトシート」を活用し、パッケージ、ターゲット顧客像や想定される売り場を明確化した。さらに販売に至るまでに想定される課題を複数抽出し、他のCOの協力も得ながら継続的に支援に取り組んだ。
相談者はコンセプトシートを使い、地域産品に興味のある30~40代の男女をターゲットに設定。デザイナーであるCOも加わり、そうしたターゲットにヒットするパッケージとロゴの開発に取り組んだ。また卸売りで商流に乗せるために必要なJANコード取得、価格設定等の整備も提案した。発売後はさらなる販路開拓のため、アンテナショップや道の駅、産直市場にアプローチするための商品説明シートの作成を提案。卸し先で売上が落ちたときは現場に足を運びヒアリングするなど、要因分析も支援している。
新商品「廣島の老舗ラーメン屋が作った卵かけご飯のつゆ」は令和2年12月に発売。これにあわせたプレスリリース支援で地元のテレビ局が取り上げた効果もあり、卸し先(ネットモール)での月間売上第一位も記録した。その後もアンテナショップでの「月間31個販売で取扱い決定」のチャレンジ販売、産直市場などへの営業支援も行い、取扱い店舗は地元百貨店、スーパーなど25箇所に拡大。令和3年の物販売上は総売上の4.6%となった。2022年9月には第二弾新商品「香味塩」の発売も開始した。
相談者ははじめての物販事業ということで、飲食店経営との違いを丁寧に説明して理解してもらえるよう心がけました。面談を重ね代表の人柄も少しずつわかり、納得できるまで話し合いを行いました。やるべきことを整理して「つぎに何をすべきか」優先順位を明確にし、あとは相談者自身の行動力に任せました。
たびたび発生した困りごとに対し、無料で継続的にしっかりサポートしてもらい、とても感謝しています。いまも続くコロナ禍の影響で店舗売上高の変動が激しいため、今後も物販事業の商品ラインナップを増やし、安定的な売上を確保していくことが目標です。今後も相談して前に進んでいきたいので、よろしくお願いします。