廃車から新たな価値を生み出す事業でブランディングを向上
約30年にわたり自動車の解体・リサイクル業に従事。約40坪の工場の室内で鉄・非鉄の分別とリサイクルや取り外した部品の販売を行っている。解体には50分~1時間の時間をかけ、ていねいな作業を心がけている。「見せられる解体工場」として、廃材を新たな価値として活用し、廃材のシートベルトを材料とした世界に一つしかないバックづくりをめざしている。
代表者:上村 正則(かみむら まさのり)
住 所:〒375-0001 群馬県藤岡市中島493-5
連絡先:090-8856-7376
令和元年、よろずの相談会でCOが相談者と出会い、自動車解体業に対する真摯な思いを確認したところから、新たな事業展開に向けた相談を重ねてきた。コロナ禍の影響を受けた時期には、COが「解体業だからこそ、モノの価値を大事にがんばってほしい」と激励。これを受けて、「若い女性が気軽に立ち寄れる、見せられる事業所」をめざして、作業場の一新と新製品の企画に着手。その一環として、元々得意だったデザインワークを活かして、自動車の解体で生じた廃材に命を吹き込むバックづくりに挑戦した。
市場では類似品が存在したものの、「見せられる解体工場を追求したい」という相談者の思いをコンセプトにしたものづくりで差別化をめざした。材料のすべては自動車解体業から生じたシートベルトやエアバックを活用し、「モノの命を活かす」というSDGsの考えに沿ったトートバッグを試作したところ、女性の顧客層での評価が高いことが判明。そこで、COの助言を踏まえ、持続可能な社会に向けた事業として、自社の思いを伝える工夫、商品展開と戦略策定、そして自社ブランディングの向上をめざした。
廃材の有効活用など時代を意識した取組であることから、SDGsをキーワードに広報戦略としての在り方を整理。まず、自社ホームページでの発信の工夫を行った。取組のPRに向け、ワークショップの開催や「グットデザインぐんま」(群馬県主催)への応募を提案。この時に「奨励賞」を受賞した。また、自社に対する思いの発信のあり方、解体工場内の売店の工夫、ECサイト構築、特許取得など多様な視点から、シートベルトのバック事業の価値向上に対して支援を行った。
さまざまな取組により、顧客の口コミが広がり、大手自動車メーカーからワークショップ企画を受注した。また、地域の子どもたち向けにシートベルトでのリボンづくりを開催できた。その結果、新規事業の売上として月10万円を達成。令和4年8月にはテレビ番組での紹介により20万円の売上となり、廃材活用の事業としての売上は取組開始から300万円に達した。今後は地域に密着して成長していくことを目標に、ワークショップの充実、バックの商品ラインナップの拡大を通じて、自動車解体業を含めて事業の持続的成長をめざしていく。
「モノを大切に、そして活かす」という相談者の思いを大切にし、本業に価値をもたらす事業、そして人々を幸せにする事業とすることを目標に、単に儲ける事業ではなく、納得する事業として支援しました。また、補助金を活用したECサイトの構築、特許の取得、プレスリリースなど「オールよろず体制」で支援しました。
COの皆様に親身になって寄り添っていただき、バックに命を吹き込むことができました。また、あこがれのタレント、所ジョージさんにバックを進呈した際、「すばらしきアイデア」と褒められたことも励みになっています。皆様に当社の思いを真摯に受け止めていただき、そして時代の動向を見ることの重要さを教えていただいたことに感謝です。