I Tツールの活用と顧客それぞれにあった接客で売上高V字回復 、コロナ禍を克服
昭和7年、飛騨高山の中心地にて開業した広田洋品店をルーツとするセレクトショップ。昭和46年法人化、店舗名を「レノン」とする。本町通りに店舗を構え、国内外のレディース&メンズブランドを取り扱う。コーディネートには定評があり、愛知県、静岡県など県外の固定客も多い。
代表者:広田 幸博(ひろた ゆきひろ)
住 所:〒509-0011 岐阜県高山市本町三丁目11
連絡先:0577-34-0234
個性的なカジュアルファッションに強みを持ち、地元以外にも固定客を持つセレクトショップだが、近年売上は漸減。相談者は令和元年10月に初めて当拠点に来訪した。COはともに店舗売上の回復、ネット通販のてこ入れに取り組むこととなったが、その矢先にコロナ禍が到来。不要不急の外出自粛、県をまたぐ移動自粛が求められ、遠方からの来客はゼロとなり、時短営業も重なって事業の維持も困難になった。先の見えない不安のなか、令和2年4月から、あらためて戦略を練り直すこととなった。
小売業は「来店客による購入」が事業の基本であることから、まず来店客の確保が課題となった。COが相談者をヒアリングしたところ、相談者およびレディース部門を担当する相談者の母は、固定客について「それぞれの嗜好」「来店頻度や購買額」「来店時の接客」「来店誘導のためのコミュニケーション」などを肌感覚で把握していること、また固定客が売上全体の8割近くを占めていることがわかった。そこでこうした固定客に「安心してお買い物をしていただくこと」を目指し、販売施策を組み立てた。
COは相談者が、固定客ごとに話題などを最適化した接客ができることから、1to1マーケティングの可能性を探った。Excelを使い過去の購買データから購買単価、嗜好、購買頻度と時期の見える化を行い、購買時期にLINEや電話でおすすめ商品の入荷情報を案内した。加えてLINEのビデオ通話機能を利用したオンライン型接客を実施し来店誘導を図った。さらに営業時間終了後の店舗に固定客を招いての貸切営業を行い、他者との接触というコロナ禍における不安も解消した。
手間はかかるが、顧客ごとに最適化した案内の方が心に届くのではないかという考え方が功を奏し、実行当月から昨年同月比109%の売上を確保。その後も前年超えが続き、感染拡大がいったん落ち着いた同年10月には「創業88周年祭」を開催。売上は昨年同月比で122%、期間対比では185%をマークした。以降、毎月の販売計画立案と実践、検証、改善のサイクルを続けることで、売上は右肩上がり基調となり、令和4年10月の「創業90周年祭」は88周年祭比113%とさらなる伸びを達成した。
相談者と固定客との関係性がたいへん良好で、これが課題を克服するカギになると思いました。コロナ禍でも事前に作成した販促計画をもとに経営を緩めず、社会状況と照らし合わせながらイベント開催や商品訴求を行うこと、顧客にも受け入れられやすい身近なITツールを活用し接客することを考えました。
コロナ禍という経験したことのない事態に何をすればいいのかまったくわかりませんでした。第三者目線でのアドバイスはたいへんにありがたく、お客さまとの関係性への着眼は、まさに目からうろこでした。またITツールの活用で質の高い関係性を築けること、その関係を維持し続けることの重要性にも気づくことができました。