就業意識改善による生産性向上で前年度比の売上高110%
代表者:三瓶 ミツエ(さんぺい みつえ)
住 所:福島県いわき市勿来町酒井関根57-5
連絡先:0246-65-1212
相談者は創業以降、地域の介護ニーズに応える事業を続々と拡大してきた。しかし平成27年の介護報酬改定により、介護サービスの基本単価が減少。さらに相談者が事業を展開する地域には、競合他社が増加し稼働率が低下し、売上が減少傾向にあった。特に訪問介護サービス事業は、慢性的な従業員不足の影響から売上が減少。厳しい資金繰りを何とかしたい、といわき信用組合に相談したところ、当拠点を紹介され相談に訪れた。
Coは、相談者と地元金融機関との三者懇談を毎月実施。すると、介護業界の労働市場は売手市場にあり、より労働条件の良い事業所を求めて人材が流動的に動いていることがわかった。相談者もコストをかけて採用しても従業員が定着せず苦労している現状。事業立て直しのために従業員の適正配置を検討するも、それがきっかけで退職されるかもしれないという不安から実行できずにいた。Coは、外部環境が影響を与えているとはいえ、従業員が定着しない状況ではその後の支援策も検討できないと判断。経営改善に向け、従業員の定着のためにも「帰属意識の向上施策への取組み」とその後の「売上拡大施策への取組み」が課題とした。
Coは、企業理念を再度明確にし、従業員にどのように働いてもらいたいか、さらに会社から従業員に対して提供できるメリット(強み)もきちんと発信することを提案。Coはファシリテーターとなり、企業理念の策定やSWOT分析の進行を支援した。相談者は社内で月例ミーティングを開き、相談者自ら従業員に想いを訴えることで就業意識を高めることに尽力。従業員による社内勉強会の実施、人材育成担当の介護福祉士の正社員雇用などの提案を一つずつ実行した。また売上拡大に向けては、日曜日も営業し稼働日を増加させるとともに、デイサービスの利用者がそのまま宿泊できるお泊りデイを開始するなど、売上拡大に向けたプランへの積極的な取組みを提案した。
業績不振だった訪問介護は、利用者宅を効率よく回れるよう調整を図り、1人あたりの月次売上高が170%アップ。営業日と営業時間帯の拡大という稼働率を上げる形での新サービス、日曜営業とお泊りデイは思惑通り新たな利益を生んだ。その新サービス導入を「従業員の新たな離職につながるかもしれない」と社長はリスクを案じたが、理念の浸透等により従業員の就業意識が向上したためか、退職者がでることなく稼働している。前年度比で、売上高110%、経常利益310%を達成。資金繰りも改善した。