「アマびえ」生菓子でコロナ退散! 3人のCOと共に取り組む老舗和菓子屋後継者の躍進
嘉永6年創業。160年以上の歴史を持つ老舗和菓子店。人口約3万人の地域に和菓子店が約20店舗もある激戦区にあって、羊羹、玉羊羹、最中を主力商品に、練切など四季折々の生菓子を提供。この地域では、お茶席に生菓子を提供できる数少ない和菓子店の一つである。
代表者:長谷川 清進(はせがわ せいしん)
住 所:964-0902 福島県二本松市竹田1-77
連絡先:0243-22-0455
平成23年3月の東日本大震災、原発事故により、観光客が減少したことで売上は大きく減少。さらに、コロナ禍が追い討ちとなり、売上は激減。相談者は高齢のため、数年前より長女が店の手伝いをしながら手作り生菓子の製造技術を習得し、事業を承継する予定である。相談のきっかけは、日本政策金融公庫の定期相談会でコロナ禍での経営改善について相談したところ、当拠点の紹介を受けた。
相談者は、練切など製造技術は高いが、この数年は新商品開発がなく、話題性に欠けていた。また、もともとの地域内競争の激しさに加え、原材料の高騰、コロナ禍による顧客減少が売上、利益の減少を招いたと分析。他方、コロナ退散の願いを込め、後継者が「アマびえ」の生菓子を創作したところ、テレビや雑誌で話題を呼んだ。担当COは、こういった状況を踏まえ、①ネット販売やSNSでの情報発信強化、②包装紙デザインや店舗レイアウトの改善、③経営管理や改善に向けた目標設定の3つを課題とし、他のCOとも連携して支援することとした。
情報担当COは即効性のある施策として、ネットショップの見直しとSNSでの情報発信を提案するとともに、話題性を持続させるため、「インスタ映え」を意識した季節ごとの新商品開発を提案。新商品の生菓子は、SNSで瞬く間に拡散した。また、デザイン担当COは包装紙の見直しを支援。レトロモダンなデザインへの変更や、コロナ禍に対応した店舗レイアウトの改善を提案。経営担当COは当年度の目標を設定しながら、経営改善状況の把握と今後の課題の整理を支援した。
支援の成果として、コロナ禍前の売上を確保することに成功。しかし、事業は改善の途に就いた段階であり、継続的な新商品開発、パッケージデザインの見直し・統一、店舗改装や老朽化設備の更新、経営管理体制の構築など、取り組むべき課題は多いが、後継者は今後の継続的な改善に対し、モチベーションの向上と改善に対する自信をつけている。今後も当拠点の支援を受けながら、震災前の売上回復を目標に、「大正ロマンのレトロモダンな店づくり、商品づくり」の実現を目指す。
相談者には取り組みたいことが沢山ある一方、目指す将来像や課題が整理できていない状況でした。そこで、目指したい将来像とそのために取り組むべき課題の全体像を共に検討・整理し、「即効性」、「後継者の意向」、「費用対効果」の3つの視点から優先順位を定め、総合的な支援を実施しました。
取り組むべき課題や実施したい事が多く、優先順位と具体的な進め方について悩んでいました。3名のCOに色々な相談に乗っていただき、具体的な取組を少しずつ実行することで、徐々にではありますが成果を実感でき、将来の目標も見えてきたと感じています。