羽二重餅発祥の老舗店を継いだ6代目 元祖の味を広める新たな取組でさらなる発展を目指す | よろず支援拠点全国本部

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羽二重餅発祥の老舗店を継いだ6代目 元祖の味を広める新たな取組でさらなる発展を目指す

「株式会社羽二重餅総本舗松岡軒」は、羽二重織を扱う織物屋として創業。明治30年に2代目淡島恒が和菓子店に事業転換し、羽二重織の白さと滑らかな肌触りを和菓子で表現した羽二重餅を創案。明治38年から販売を開始した羽二重餅は、今や福井を代表する銘菓に。現代表の6代目も先代の想いを受け継ぎ、素材配合を変えずに製造を続け、伝統の味を守っている。主力商品には、羽二重餅のほか、羽二重どら焼や羽二重もなかがある。店舗販売だけでなく、大手百貨店の催事などにも積極的に参加し、羽二重餅元祖の味を県内外に伝えている。

公開日: / 都道府県:福井県 業種:小売 課題: 事業承継

株式会社 羽二重餅総本舗松岡軒

代表者:淡島 智子(あわしまともこ)
住 所:〒910-0006 福井市中央3-5-19
連絡先:0776-22-4400
URL:http://habutae.com/

「株式会社羽二重餅総本舗松岡軒」は、羽二重織を扱う織物屋として創業。明治30年に2代目淡島恒が和菓子店に事業転換し、羽二重織の白さと滑らかな肌触りを和菓子で表現した羽二重餅を創案。明治38年から販売を開始した羽二重餅は、今や福井を代表する銘菓に。現代表の6代目も先代の想いを受け継ぎ、素材配合を変えずに製造を続け、伝統の味を守っている。主力商品には、羽二重餅のほか、羽二重どら焼や羽二重もなかがある。店舗販売だけでなく、大手百貨店の催事などにも積極的に参加し、羽二重餅元祖の味を県内外に伝えている。

公開日:
都道府県:福井県/業種:小売/課題:事業承継

株式会社 羽二重餅総本舗松岡軒

代表者:淡島 智子(あわしまともこ)
住 所:〒910-0006 福井市中央3-5-19
連絡先:0776-22-4400
URL:http://habutae.com/

目次

  1. 相談のきっかけ
    相談者は後継者として期待されたが東京での暮らしがあり決断できず
  2. 課題
    北陸新幹線の福井開業が迫り店舗改装や新規出店への対応が急務に
  3. 支援内容
    地元の人にも羽二重餅の魅力を伝えたい。店舗改装を機に和カフェをオープンへ
  4. 支援の成果
    和カフェは地元でも話題となり売上は前年同月比2倍以上を達成

相談のきっかけ
相談者は後継者として期待されたが東京での暮らしがあり決断できず

大学進学を機に福井を離れて30年 経営の経験がないことも不安の種に

110余年にわたり、伝統の味を守り続ける老舗和菓子店の懸案事項だったのが事業承継。平成26年、先代である夫の急逝により、相談者の母である5代目が店を継いだが、高齢となっても後継者が決まらずにいた。令和6年3月16日の北陸新幹線福井開業が迫るなか、新事業展開についても具体的な計画を策定する必要があり、5代目は当拠点に事業承継とその後の事業計画の相談を始めた。後継ぎに期待されたのは、5代目の長女である相談者だった。「店の存続が自分にかかっていることはわかっていました。しかし大学進学を機に福井を離れて30年。自身の家族と共に東京で暮らしており、都内で仕事もしていました。しかも私には経営者の経験がありません。そのため簡単に店を継ぐ決断はできず、事業承継にはずっと背を向けていました」(相談者)。福井県では、大学進学や就職を機に地元を離れる若者が多く、後継者不在に悩む事業者は少なくない。明治から続く老舗店といえども決して例外ではなく、同社の存続は相談者の決断にかかっていた。

課題
北陸新幹線の福井開業が迫り店舗改装や新規出店への対応が急務に

新事業展開に向けて製造の効率化と古い経営体制の改善も目指す

転機となったのはコロナ禍だった。「自分の時間ができて、店の将来を考えられるようになりました。当時仕事が一段落つき、次女が成人になるタイミングだったことから単身福井へ戻ることを決断。今の年齢ならまだ新しい挑戦ができるという想いもありました」(相談者)。また北陸新幹線が福井駅へ延伸されることもUターンを決断した大きな理由の一つ。開業すれば当然駅の利用者は増え、店も忙しくなる。そうなれば、高齢の母が一人で和菓子店を切り盛りするのは難しいと考えたのだ。この決断を受け、当拠点は事業承継・引継ぎ支援センターと連携し、事業承継の手続きを開始。また経営経験に乏しい相談者とは継続的に対話を重ねながら、事業計画と中期経営計画の立案に着手した。後継者が決まらず先延ばしされていた課題は多く、中でも駅周辺の再開発に伴う店舗改装や新規出店は早期の解決が必要だった。とりわけ相談者は、北陸新幹線福井開業を好機と捉え、新店舗に和カフェを併設する構想を練っていた。ただ新事業展開のためには製造の効率化を図らねばならず、老舗であるが故の古い経営体質を改善する必要があった。

支援内容
地元の人にも羽二重餅の魅力を伝えたい。店舗改装を機に和カフェをオープンへ

北陸新幹線福井開業の日が迫るなか短期間での資金調達に尽力

Uターン直後から経営に関わり始めた相談者。「着任して驚いたのは、送り状も納品書も手書きで、作業はすべて紙ベースだったこと。その上、商品の生産計画は現場の勘頼りで、ロスや、品切れになることも。業務効率化を目指し、表計算ソフトに日々の生産数や発注数を入力し、需要を予測できる体制を整えました」(相談者)。事業承継は世代が交代することから、噴出する課題も多くなる。「私たちは、いつまでに何をするかを明確にし、優先順位をつけて課題に取り組みました」(小林CCO)。最優先事項の一つだったのが本店の店舗改装。相談者は、県外の観光客だけでなく、普段あまり羽二重餅を食べない地元の人にも改めて魅力を伝えたいと、新店舗に和カフェを設け、羽二重餅を使った新たなスイーツの提供も考えていた。そこで当拠点は、北陸新幹線福井開業までにカフェをオープンできるよう、「中小企業等再構築補助金」の計画申請を行い、短期間での資金獲得を図った。また相談者には、当拠点が実施する「後継者育成塾」を紹介。経営ノウハウの習得だけでなく、他の経営者とのつながりを促すことで、孤独に陥りがちな経営者のサポートを心がけた。

支援の成果
和カフェは地元でも話題となり売上は前年同月比2倍以上を達成

店舗改装を機にメディア露出が増加 足が遠のいていた地元客の来店も促す

 

令和4年に相談者は老舗和菓子店の6代目に就任。補助金も採択となり、北陸新幹線福井開業前に店舗改装を終え、和カフェをオープンさせることができた。現在、経糸(たていと)2本、横糸1本で織り上げる「羽二重織」をモチーフにした和モダンな空間では、羽二重餅を使った同店オリジナルのスイーツの数々が味わえる。一番人気は、明治期から変わらぬ製法で提供するかんなびきの手かき氷。夏は行列ができるほどだ。この店舗改装が話題を呼び、メディアから注目される存在に。新聞や雑誌媒体への露出が増えた結果、新規顧客はもちろん、足が遠のいていた地元客の来店も増加した。その成果は売上にも顕著に表れ、和カフェオープン後は、前年同月比2倍以上の売上を達成している。また現在、福井駅構内で営業中の仮設店舗は、北陸新幹線福井開業と同日にオープンする、福井駅新ショッピングセンター「くるふ福井駅」へ移転する。北陸新幹線福井開業でさらなる賑わいが期待される福井駅。県内外から訪れる顧客に、元祖がつくる本物の羽二重餅のおいしさを伝えたいと、6代目はこれからも店を盛り立てていく。

事例を振り返って

・事業承継・引継ぎ支援センターと連携しながら支援を行い、急務となっていた店舗改装なども適切なタイムスケジュールで対応

・不安や孤独を感じていた相談者に「後継者育成塾」を紹介し、他の経営者とのつながりをもてるようサポート

・後継者に寄り添い、多角的な視点で適切なアドバイスを行いながら、承継後の伴走支援も実施

相談者の声

一従業員として働いてきた私にとって、経営者になることは不安でしかありませんでした。そんななか、「後継者育成塾」の受講を勧めていただいたおかげで、他の経営者とつながりができ、心強さを感じることができました。また大きな課題であった事業承継と店舗改装については、手続きや事業計画書作り、
補助金申請、実行支援までをサポートいただきました。おかげで、北陸新幹線福井開業前に和カフェをオープンさせることができ、大変感謝しています。今後は売上を拡大しさらに店を発展させていけるよう、人手不足の解消や生産効率の向上に引き続き取り組む必要があります。これからもご支援をよろしくお願いします。

支援した拠点

福井県よろず支援拠点

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