自慢のスープをメインにメニュー再構築 ”鍋がおいしい店”として定着 | よろず支援拠点全国本部

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自慢のスープをメインにメニュー再構築 ”鍋がおいしい店”として定着

創作和食と和酒を安価に提供し、気軽に入れる本格和食店というコンセプトを狙っていたが、それがお客様にとって、料理の価値をわかりにくくしていた。人気の鍋のスープの認知度を上げる戦略で、一躍鍋がおいしい店として売上げを回復させてゆく。

公開日: / 都道府県:鹿児島県 業種:小売 課題: 売上拡大

酒庵 朋

創作和食と和酒を安価に提供し、気軽に入れる本格和食店というコンセプトを狙っていたが、それがお客様にとって、料理の価値をわかりにくくしていた。人気の鍋のスープの認知度を上げる戦略で、一躍鍋がおいしい店として売上げを回復させてゆく。

公開日:
都道府県:鹿児島県/業種:小売/課題:売上拡大

酒庵 朋

代表者:
住 所:

目次

  1. 新規客とターゲット客の獲得に苦戦
  2. 店の売りのスープを集客のカギに
  3. スープを中心に食べ方だけでなく提供時の演出も進化
  4. 鍋がおいしい店のイメージ獲得に成功

新規客とターゲット客の獲得に苦戦

商談や接待利用を期待して、官公庁街に店を構えたが、店舗が二階にあることから新規客の獲得が難しく、常連客のみでの営業に先行きの不安を感じていた。また、明るく開放的な内装から女性客の来店も見込んでいたがほぼ男性客という状態であった。
あるとき、レトルト食品の製造業に携わるお客様から、店で提供している黒さつま鶏を使った鍋のスープを販売したらどうかとの提案を受け、少しでも売上げの足しになればとレトルト販売についての相談を商工会議所に持ちかけた。しかし相談を受けた商工会議所経営指導員は、レトルト販売は製造ロット数が相当数必要であり、ほかに売上拡大の方策はないかと、当拠点との連携支援を提案した。

店の売りのスープを集客のカギに

創作和食と和酒を安価に提供し、気軽に入れる本格和食店というコンセプトを狙っていたが、それがお客様にとって、料理の価値をわかりにくくしていた。質の高い料理と明るく開放的な店のイメージがギャップとなっていて、そのために徐々に安価な居酒屋メニューなどを追加で提供するようになっていた。ヒアリングを通してコーディネーター(以下CO)は味の評価が高く、人気のあった鍋のスープを店舗でもっと有名にすることから始めるべきと判断。そこで、売上拡大につなげるために、料理にスープの活用をもっと進めるべきと考えた。現在のお客様がスープをどのように飲まれているかをみると、鍋料理で出されたスープがすっかり飲み干されたり、スープだけお代わりされたりと、鍋のメイン素材となっているかのような印象を受けた。そのためスープの価値をさらに高めるために、それを活かしたメニュープランを再度構築し直すことからはじめることにした。

スープを中心に食べ方だけでなく提供時の演出も進化

COは黒さつま鶏のスープを使った鍋がメインのメニューであることを前面にPRすることを提案。鍋のバリエーションを整理して一人用にすればもっと女性客も取り込めるのではないかと考えた。商工会議所経営指導員からは小規模事業者持続化補助金の活用で、IHコンロの導入もできるのではないかと提案があった。また、スープの飲ませ方にさらに面白い工夫を加えれば、もっとスープの価値が高められるのではないかと考え、相談者と提供方法についてアイデアを出し合った。
相談者は提案を受け、申請した「小規模事業者持続化補助金」に採択。各席に鍋用IHコンロを固定設置した。水菜を使用した「ハリハリ鍋」として、豚や牛、海鮮など鍋のバリエーションを決め、それぞれの盛り付け方、ボリューム、皿の色合い、価格などを検討した。また、店主が手書きで書いていたメニューにスープの飲み方のページを追加して、さらにスープをもっと認知させるために、このページを各席に設置するテーブルマットとした。締めに出していた雑炊をあえてスープでお客様がつくってもらうスタイルとして、卵かけごはんをスープに投入する「玉子スープめし」とし、新メニューを開発。これらを通し、スープをそのまま飲んだり、味を足して飲んだり、ご飯と食べたりとスープの多様な飲ませ方を提案することで、お客様を楽しませるとともに、他にはないインパクトを提供することができた。

鍋がおいしい店のイメージ獲得に成功

 

テーブルにあらかじめ一人鍋IHコンロが設置されていることや、テーブルマットにスープの飲み方についての説明が記載されていることから、自然に鍋に注目が集まることを狙ったことが功を奏して、鍋を注文するお客様が4割程度だったものが8割程度と倍増した。もともとスープが自慢であり、鍋を注文すれば必然的にリピート客にもなる。結果として鍋がおいしい店としての評判が上がり、女性客も徐々に増加。売上げは4割増となった。

支援の流れ
01
新規顧客の獲得が思わしくなく常連客のみの営業に不安
02
質の高い料理と明るく開放的な店のイメージがギャップに
03
人気の鍋スープで店舗を有名にするという戦略を提案。スープの価値を高める取組みを実施
04
メニューやメニュー表の見直しの後8割のお客様が鍋を注文するように
支援した拠点

鹿児島県よろず支援拠点

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