コロナ禍のマイナスからのスタート 小さな温泉宿の大きなレジリエンス | よろず支援拠点全国本部

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コロナ禍のマイナスからのスタート 小さな温泉宿の大きなレジリエンス

相談者は生命保険会社を退社後、バックパッカーとしてアジア各国を巡る。泊まっていたのは1Fにレストランがあって素泊まりもできるゲストハウス。相談者はそこで出会う世界中のバックパッカーと情報を交換し合い、親交を深めた。そうした旅のなかで相談者は、「バックパッカーが気軽に利用できるゲストハウスが少ないから、日本への旅の予定に組んでいない」という声を度々耳にした。帰国後、相談者はバックパッカー向けのゲストハウス開業の準備として旅行会社に就職した。

公開日: / 都道府県:神奈川県 業種:宿泊・飲食 課題: 経営改善・事業再生

ゆぽっぽ箱根(旧温泉宿 停車場)

代表者:小清水 大(こしみずだい)
住 所:〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1285-35
連絡先:0460-83-8080
URL:https://teishaba.com/

相談者は生命保険会社を退社後、バックパッカーとしてアジア各国を巡る。泊まっていたのは1Fにレストランがあって素泊まりもできるゲストハウス。相談者はそこで出会う世界中のバックパッカーと情報を交換し合い、親交を深めた。そうした旅のなかで相談者は、「バックパッカーが気軽に利用できるゲストハウスが少ないから、日本への旅の予定に組んでいない」という声を度々耳にした。帰国後、相談者はバックパッカー向けのゲストハウス開業の準備として旅行会社に就職した。

公開日:
都道府県:神奈川県/業種:宿泊・飲食/課題:経営改善・事業再生

ゆぽっぽ箱根(旧温泉宿 停車場)

代表者:小清水 大(こしみずだい)
住 所:〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1285-35
連絡先:0460-83-8080
URL:https://teishaba.com/

目次

  1. 相談のきっかけ
    縁もゆかりもない新天地で、出口が見えない困難に直面
  2. 課題
    旅館業以外の収益を求めて、手作りパンの出張販売を開始
  3. 支援内容
    顧客ターゲットと館内レイアウトを大胆に変更
  4. 支援の成果
    稼働率は0%から70%に、収益率も30%に改善成功

相談のきっかけ
縁もゆかりもない新天地で、出口が見えない困難に直面

拠点同士、CO同士のネットワークが生きる コロナ禍で始まった急を要する支援プロジェクト

温泉宿「停車場」がオープンしたのは令和元年11月。オープンを控えた同年10月、箱根町は、同町観測史上最大となる1,001.5mmの雨を記録した台風19号の影響により、甚大な被害に見舞われた。複数箇所の土砂崩れで国道は遮断され、箱根登山鉄道は橋脚が流失。パイプも寸断され温泉は通らない。災害からようやく復興した翌令和2年の1月、国内で最初の新型コロナウイルス感染者が確認されると、コロナ禍が箱根のみならず全国の旅館業を襲う。台風被害を乗り越え、同年2月に男児を授かったばかりの相談者夫婦は、縁もゆかりもない土地で、手持ち資金が減少していく状況に途方に暮れていた。そんな状況を、高知県拠点から支援を受けたことのあった相談者の親類が、当時の担当COに相談する。高知県の担当COは、すぐに顔見知りだった神奈川県のCOに連絡をとり、コロナ禍の真っ只中の令和2年の6月に本事例の相談に至った。

課題
旅館業以外の収益を求めて、手作りパンの出張販売を開始

今、この温泉宿にはバックパッカーは来ない コロナ禍で小さな温泉宿に求められることは何か? できることは何か?

 

COはまず、当事業の財務状況の分析を開始し、コロナ禍でも売上を上げる方法が宿泊以外にないかを模索した。財務状況に関しては、すぐに追加融資を受けるよう指示を行い、施設購入費の月々の支払いも据え置きにし、当面の資金ショートは免れた。売上としては、手作りパンを市役所や行政機関で出張販売できないか検討。ゲストハウス時代から相談者の夫人が毎朝焼き上げていたパンは、宿泊者の間で名物になっていた。箱根に移住した際にお世話になった箱根町役場の担当者とのつながりで、町役場での出張販売がすぐに開始された。次に客室の売り方を検討。相談者は今までバックパッカー向けの商売をしていたこともあり、今回の温泉宿のターゲットも、部屋に1人もしくは2人のバックパッカーを想定していた。しかし、コロナ禍で箱根はおろか日本にはバックパッカーはどこにもいない。新しい顧客を掘りおこししていかないと先はない。相談者とCOは、この小さな旅館だからできること探し始めた。

支援内容
顧客ターゲットと館内レイアウトを大胆に変更

コンセプトには相談者の趣味だった“鉄道”を活用 鉄道グッズが所狭しと並ぶエンターテインメントの宿

COは、本業である旅館業においても新しい企画を提案。宿を丸ごと貸し出す「家族温泉」だ。コロナ禍で旅行をしない最大の理由は感染への恐れ。であれば、宿泊者は一家族だけのパッケージサービスを用意すれば、コロナ禍でも需要はあるのではと考えた。COはさらに抜本的な改革の提案を続けた。バックパッカーから家族へ、顧客ターゲットの変更である。ターゲットの変更にともない、それまではバックパッカーをターゲットにしていたため、購入したときのまま共同だったトイレ、洗面所も各部屋に設置。改装工事は相談者自ら行った。次に新たなコンセプトの設定。それには相談者が趣味で集めてきた鉄道グッズが大いに役に立った。ロビーのソファーは実際に使われていた列車のシート、部屋には駅名看板や車掌の帽子が飾られている。こうして温泉宿「停車場」は、鉄道好きの子どもが楽しめる「ゆぽっぽ箱根」への歩みを進める。

支援の成果
稼働率は0%から70%に、収益率も30%に改善成功

外国人バックパッカーに向けた温泉宿「停車場」は鉄道好きの子どもとその家族が楽しめる「ゆぽっぽ箱根」へ

新サービス「家族温泉」は、COがPR支援をしたこともあり、地元新聞などのメディアに大きく取り上げられ、宿の認知と集客につながった。そこから館内のレイアウト変更の進行に合わせて徐々に営業日を増やしていき、令和5年の夏には宿泊稼働率が70%にまで回復する。また、バックパッカーから家族へ顧客ターゲットを変更したことにより、宿泊料金を30%上げ、収益率の改善も実現した。明確でわかりやすいコンセプトを設定した「ゆぽっぽ箱根」の顧客は、もちろんターゲットとした子ども連れ家族だ。子ども連れ同士なので、多少騒いでもお互いさま。高級旅館のように気兼ねすることなく過ごせることも人気の一つとなっている。相談者はそうした宿泊客がみんなで楽しめるピザ作りなどの体験イベントも用意。今後は、“鉄道”をさらに強調するために、宿の敷地にレールを敷いて子どもが乗れるミニ鉄道を走らせる予定だという。

事例を振り返って

・運転資金のショートを避けるために活用できるリソースを模索

・コロナ禍の旅行ニーズと「ゆぽっぽ箱根」をリンクさせるポイントを提示

・コロナ禍とコロナ禍後を見越した抜本的な改革を提案

相談者の声

立て直しのきっかけはコロナ禍で企画した新サービス「家族温泉」でした。COの支援により新聞に取り上げてもらい多くの予約をいただきました。正直、廃業の二文字も頭に浮かんでいたころで、台風に始まった箱根で生活にようやく光が見えた気がしました。コンセプトとともに「停車場」から「ゆぽっぽ箱根」に宿名も変え、子ども連れの宿泊者からの「電車のおとぎ話の世界に入ったよう、子ども大人も楽しめる宿」という口コミ投稿を見たときは、本当に嬉しかったです。コロナ禍収束の兆しが見えてきた令和5年の春からは、より体験を組み込んだ宿泊プランを企画しています。「ゆぽっぽ箱根」をこれからも進化させていきます。

支援した拠点

神奈川県よろず支援拠点

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