データ裏付けの厚い計画で自己資金不足からの創業を実現
理想の創業に必要な融資を受けるためには、実現性と具体性の高い創業計画が必要だった。 長崎商工会議所とも連携し、コンセプトの明確な創業計画をもとに融資と補助金を獲得し、創業を実現。
代表者:志田 智紀(しだ とものり)
住 所:長崎県長崎市大黒町7-10 ワタナベビル1F
長崎駅前に店を構える「焼鳥こう庵」。福岡にある炭火焼き鳥専門店で8年の修業を積み、いつかは自分の店を持ちたいと強く思うようになった相談者が2年前に創業したばかりの人気店である。習得したこだわりの焼き鳥と地酒を故郷長崎の地で味わってもらいたいと創業を考え、相談者の出身地である西海市商工会から紹介を得て当拠点に来訪したのが始まりであった。
ヒアリングを行ったところ、相談者は過去に店長まで含めたあらゆる店舗業務をこなしており、「実際の業務とお客様に喜んでいただくことに自信はあった」ものの、最大の課題は資金の調達だった。理想とする店舗にかかる費用に対し、自己資金が過少だったのだ。
そこで金融機関から融資を受けるために、自己資金不足を補うに足る、実行性の高い具体的な創業計画が求められた。融資のめどが立つまで時間がかかってもよいとの同意を相談者から得て、当拠点は半年間かけて創業を支援することになった。
また、創業計画に関しては当拠点が支援を担当し、融資や金融機関との交渉のアドバイスに際しては長崎商工会議所と連携してサポートをするという方針を定めた。
実行性の高い創業計画を立案するために、まずはお店のコンセプト、ターゲットおよび商品・サービス、他店との差別化について、整理と提案を行った。次に、店舗の設計や立地について話し合い、ランニングコスト、店舗費用の検討、時間帯別の通行人および通行量調査、候補地近郊の競合店調査を提案した。
数値計画では、売上予想額(楽観値・中間値・悲観値)や、価格と原価などについて細かなシミュレーションを実施するよう促した。とくに席数、稼働率、希望客単価などを照らし合わせ、悲観値でも店舗運営を維持できるかなど、第三者の関与がないとなかなか目を向けづらい面もしっかりと考えるようアドバイスした。
金融機関からの資金調達が肝であったため、相談者がイメージする店内レイアウトやコンセプトを「見える化」することも助言。これをもとに、商工会議所の協力も得て、融資の申し込み並びに創業補助金への応募を行うことで計画の実現性の高さを印象付けた。
相談者自身の強みを整理し、実現性の高い創業計画を立案できたことにより、地元金融機関、政府系金融機関から協力を得て必要資金を調達することができた。さらに創業補助金にも採択され、思い描いていた店舗で創業することができた。
入念な事前準備は創業後すぐに売上げへと反映され、計画時の売上げを達成することができた。
その後も売上げは安定的に推移しており、計画時の売上予想額の倍を達成するという成果が得られている。「将来の夢であった多店舗展開が視野に入ってきました」と相談者が語るように、2店舗目の開店も間近。お店を任せる正社員の教育に力を入れている。