駄洒落から始まった 『最強脳みそどら焼き』で売上増
人気商品となった新しいケーキ風どら焼きを生み出したのは、こだわりの職人気質とユーモアのセンスだった。 受験生をメインターゲットに据え準備万端で望んだ新商品は、店舗全体の売上げも大きく押し上げた。
代表者:大久保 長二郎(おおくぼ ちょうじろう)
住 所:佐賀県三養基郡みやき町原古賀538-1
相談者は、自家製の餡(あん)にこだわった和菓子づくりで長く親しまれてきた和菓子屋である。売上拡大を目的に最初に訪問があったのは平成26年6月のこと。当初は最も人気のある商品だった「黒糖どら焼き」の広報戦略や、新規菓子類に関するパッケージデザインをサポートしていた。
さまざまな相談を行いながら当拠点に面談を重ねていたところ、7回目の来訪時(平成27年1月)に相談者が、「西京味噌→西京のおみそ→最強脳みそ」という面白い駄洒落を考えついた。
この駄洒落を活用したお菓子を作りたいという企画に意見・助言を希望され、その後の相談が始まった。
「最強脳みそ」とは人目をひくユニークなネーミングである。そこでこのワードが訴求する対象を検討していったところ、受験生とその関係者が浮かび上がった。
少子化傾向ではあるが、子供一人にかける消費額は伸びている。特に受験生の合格祈願のお菓子として、受験生を応援する両親、親戚、友人などをターゲットにすれば十分に商機はあると考えられた。さらに冷凍による流通を前提にすれば、商圏拡大も図れると判断できた。
まず受験生合格祈願用の菓子(受験生応援菓!)をシリーズもので開発することを提案し、当年の受験シーズンを目標としたスケジュールを示した。同時に、看板商品であるどら焼きのバリエーションとして最初の新作を開発することを提案した。その他にも当拠点として、広報、WEB販売、デザイン、商標登録など、商品開発をトータルでサポートした。
当拠点の女性職員も巻き込んだ試作と評価を繰り返し、結果として若い世代を意識した、まったく新たなケーキ風どら焼きができあがった。さらに新たな駄洒落として、「甜菜糖(天才糖)」を生地に練り込むことにもなった。
名称も『最強脳みそどら焼き』と決定し、「最強脳みそ」の商標出願も行った(後に登録)。プレスリリースの送付や学習塾とのマッチングなども、当拠点の支援の下に実施した。
完成した『最強脳みそどら焼き』は、単品だけで約3カ月間でおよそ5千個の販売を達成した。プレスリリースの甲斐あって新聞5社、テレビ2社のメディア露出も実現。その広報効果も相乗効果となり、店舗全体の売上げも約15%アップした。繁忙期でのこのアップ率は驚異的とのことであった。
佐賀県みやき町のふるさと納税の景品としての採用や、学習塾との提携したオリジナル商品の製作なども実現。また『最強脳みそどら焼き』に合わせてホームページも作成し、稼働を始めている。
「こんな楽しい商品開発は初めてだった。予定どおりの成果も出て非常に満足している」とは、どら焼きと並ぶほどの町の人気者、駄洒落大好きな相談者の弁である。