老舗鳥専門店の事業承継、後継者の新たな取組で売上5%アップ
創業以来約40年間、3代にわたって、焼き鳥や唐揚げなど、鳥料理の持ち帰り専門店を営む。老舗店として地元住民の認知度は高く、リーズナブルな価格と安定した味には定評がある。また、最近は、鳥料理に限らず、「白キムチ」や「牛サガリ」などの惣菜も販売している。
代表者:代表 渡辺 剛(わたなべ つよし)
住 所:〒990-0301 山形県東村山郡山辺町山辺1446-18
連絡先:023-664-6101
昔ながらの鳥料理専門店を、長年にわたり経営してきた相談者。高齢化により息子夫婦への事業承継を検討するも、事業承継のノウハウがない。そのため、相談者と息子夫婦は、最適な事業承継方法について山辺町商工会に相談。同商工会からの紹介を受け、当拠点に相談に訪れた。
相談者は個人事業主であり、事業承継では事業用資産の個人間移転が必要。同社の経営状況を確認したところ、長年安定して利益を創出してきたために、債務よりも資産の方が多い状態で、資産の移転には多額の税金が発生することが分かった。一方息子夫婦は、次の代以降のことを考えて、現状どおり個人事業として引き継ぐべきかどうか迷っていた。そこで、「事業用資産の引き継ぎ方法」を検討すべき課題として設定した。
COは、親子間の資産引継ぎ方法として、「譲渡」、「贈与」、「賃貸」があることを説明。相談者は所得税、消費税や贈与税が発生しない、賃貸による引継ぎを選択した。また、息子夫婦の、事業承継後はより組織的に事業を拡大していきたいとの意向を汲み、COは将来的な法人成りを提案。新経営者体制の基盤構築、社員の福利厚生の充実、消費税の免税期間等を考慮し、おおむね3年後の法人成りを目指すこととなった。
事業承継が完了し、後継者である息子夫婦は事業拡大に向けた新たな取組として「白キムチ」や「牛サガリ」など、鳥料理以外の惣菜品の販売を開始。前経営者である相談者も、息子夫婦の経営を熱心かつ献身的にサポートしている。店舗で働く従業員も新しい経営者を受け入れ、店舗全体が活気に満ちている。その結果、店舗売上は事業承継前と比較して月商ベースで前年同月比5%ほど増加しており、法人成りに向けても良いスタートが切れた。
資産の承継には税務上の問題が絡むため、税務上の観点から事業承継手法を選択することが多い。そのため、各手法の見込み税額を計算し、コスト面や税務上の問題点を理解してもらった。さらに後継者の将来展望を見据え、承継後の資産移転方法等についても言及した。
経営者である自分が急逝した場合の「事業用口座の凍結」や「事業用資産の相続」を想像し不安な毎日を送っていた。COの専門的な視点から的確な助言を受け、無事に事業承継を行うことができた。また、助言を受けた法人成りに向けても後継者と共に努力したいと思う。