新たな発想の漏水調査により、工事原価の平均15%削減を実現
前身は1965年に先々代が「さく井」工事事業者として設立した小口設備工業株式会社。1975年頃より住宅設備工事業へ転換し、その後、水道本管造成や住宅への水道引込みといった管工事業が中心となる。2018年より漏水調査事業を開始。現在では難易度の高い漏水調査にも着手している。
代表者:代表取締役 小口 泰永(こぐち やすのり)
住 所:〒304-0053 茨城県下妻市今泉130-1
連絡先:0296-44-3390
同社はいわゆる町の水道工事業者であり、自治体や住宅、工場等の水道工事・設備工事をメインに施工している。しかし工事原価の増加により、2017年・2018年と連続して大幅赤字を計上。そこで老朽化していた保有設備の代わりとして新たな設備を導入し、赤字脱却にも繋げたいと考えたが、そもそも設備投資をしたところで黒字化は可能なのか、その後どのように事業展開していくかについて当拠点に相談に訪れた。
COは同社の施工方法や経費を分析し、工事原価を削減する余地について検討を行った。一般的な工法では、漏水箇所を断定するには何か所も地面を掘削する必要があり、それに多くの時間と費用を要していると判明。また、業界的に受注単価の引上げは難しく、現工法での黒字化は困難であった。逆に、漏水箇所をピンポイントで断定できれば、掘削回数の削減による工事原価圧縮が可能と考え、非掘削式の漏水調査スキームを開発することにした。
ピンポイントで漏水箇所を発見する方法について、調査機器メーカーと検討を行った結果、最新の音波やレーダー機器を用いた地中調査方法が有効であると判明した。相談者は地元の下妻市役所と連携して試験的調査を行い、結果は見事成功。さらにCOは、営業ツールとして「漏水ハザードマップ」、「配管経路図」を作成し、効果的な漏水調査単体の提案営業を事業化するよう進言した。
新たに地中調査機を導入したことにより、掘削せずともピンポイントで漏水箇所が断定できるようになった。その結果、工事時間も短縮、掘削範囲も従来の30%程度に抑制できたことから、工事原価も平均15%の削減(工事によっては最大30%程度削減)を実現。また、今回開発した調査スキームを活かし、今後は漏水工事だけでなく漏水調査のみを単体で受注できる体制を整備し、利益率の高い事業展開を進めていく。
相談者には新しい施工方法に関する情報がなく、調査方法の変更に懐疑的だった。しかし、現施工体制が赤字体質であるため次第に危機感が募り、大胆な変革を決意した。新しい施工方法は、地中調査会社の専門的意見を取り入れたものであり、最新機械採用への土壌づくりに努めた。
COの粘り強い支援もあり、新たな事業展開にチャレンジできた。新しい挑戦には、業界の固定観念にとらわれない自由な発想が重要であると実感した。また、ITや最新設備の活用が革新的ビジネスにつながることも身をもって学べた。