卸販売とネットショップ販売で販路開拓相談開始当初から約45%の売上増を達成!
老舗和菓子店を営む相談者は、現状の小売業への行き詰まり感から何とかして販路を開拓したい、という想いを持っていた。そのような中、同店の看板商品だった「黒兵衛」が、他社の商標を侵害していると鹿島商工会議所から指摘を受けた。そこで、商標侵害への対策と今後の販路開拓に向けた取組みについて、当拠点へ相談に訪れた。
商標権の問題は今後の事業拡大の上で障害となるため、早急に新規商標登録が必要とCoは判断。しかし、指摘された商品が同店の看板商品であることから、新たなネーミングによっては現在の売上を維持できなくなる危険性もあると分析。また、販路拡大については、既存商圏の縮小から店頭販売での売上拡大には限界があると分析。そこで、Coは、新規商標登録に向けては、「売上を維持できるネーミングにすること」、また、販路拡大に向けては、「既存商圏以外での販路開拓と需要増に対応する生産性の向上」が課題とした。
相談者が社内で検討した新規商標は、「鈴兵衛」であったが、Coは、すでに「黒兵衛」の知名度が高いことから、既存のファン層を維持するため、現状の名称の頭に「奴」をつける「奴黒兵衛」を提案。相談者はこれを受け入れ、当拠点の連携機関である佐賀県地域産業支援センター内の知財支援課の弁理士相談会を利用して、商標出願と登録を行った。
また、販路拡大に向けては、卸やネットショップの拡充を提案。佐賀県特産品商談会へ出展し卸先の新規開拓を行うようアドバイスするとともにネットショップ開発も支援。また、受注の増加を見越して、補助金を活用した設備の刷新で生産性向上にも取り組むこととした。
当初の問題であった看板商品の商標も、「奴黒兵衛」で新規登録。また、新たに「奴白兵衛」も開発し、二枚看板商品となっている。また、Coのアドバイスもあり、補助金も採択を受け新たな設備が導入された。結果、大幅な生産性向上を達成し、少人数でも需要増に対応できる体制を確立。大手食品卸への試供品提供など積極的に販路開拓を行った結果、東京、大阪、福岡のスーパーへの取引が決定。さらに、開設したネットショップを通じた注文も増えている。結果として相談開始から3年間で、約45%の売上増を達成できた。