財務管理と販売促進を強化し赤字から黒字へ転換
同店は、旧酒販店から続く地域に根差したコンビニエンスストアだが、人口減少と近隣ドラッグストアが進出したことに伴い競争が激化し、売上減少が続いていた。こうした状況で経営状態も悪化しており、相談者は何か経営改善に向けて何を取り組めば良いか、以前に相談をしたことのある当拠点を思い出し、再度来訪した。
Coが以前の相談記録を参考に内部環境を分析したところ、人手不足から相談者と従業員で役割分担ができておらず、陳列や会計など含め日々の作業を両者で効率よくできていない状況が判明。財務管理も不十分で、売上高、仕入高、経費支払の数字も把握ができていない。また、在庫管理も十分でなく、在庫過多に陥っていた。
さらに、現在の市場顧客を確認すると、当店は先代から続く店舗であることから、周辺住民との結び付きが強く、旧酒販店時代から行っている酒類配達によって一定数の固定客もいる。Coは、「現場改善で相談者がマネジメント力を発揮できる環境づくり」と「強みを生かした販促活動をすること」の2つを課題とした。
財務管理の強化、売上高・仕入高・経費支払を確認するためにも、相談者と従業員の業務分担をアドバイス。これまで従業員に任せていた発注を相談者自ら行うことで、売上状況の把握と在庫の適正化、廃棄ロスの減少に取り組むよう提案した。さらに、人件費の削減に向け、時間帯別の売上高と来店数を分析し営業時間を短縮することも提案。販売促進策としては、地域の固定客である高齢者や飲食店向けの配達業務の強化や地元高校への定期販売を再開。店舗レイアウトも、売れていない日用品の売り場は縮小、旧酒販店の特色を生かし地酒を扱うなど酒類の品揃えに特色を出すようアドバイス。また、棚割りを見直して売り場の印象と、陳列にかかる時間の短縮に向け改善するよう提案。
相談者がマネジメント力を発揮できるよう現場改善を進めたことで財務状況は改善、利益も増加。また、販促活動も功を奏し高校への定期販売を再開したことで関係構築ができ、学校イベント時の新規受注も得るようになった。売上も前年同月比105%増加し、平成28年決算は赤字だったが翌年は黒字に。平成30年決算も黒字の見込みである。