りんごへの熱い想いが生んだ新商品が地元を代表する商品として全国へ | よろず支援拠点全国本部

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りんごへの熱い想いが生んだ新商品が地元を代表する商品として全国へ

青森県の特産品りんごの魅力を、全国に伝えたい。 りんごへの強い思い入れを持つ相談者のアイディアを、 商品開発から販路拡大までワンストップ支援で実現に導く。

公開日: / 都道府県:青森県 業種:小売 課題: 売上拡大

株式会社エイ・ワンド

代表者:高森 正志(たかもり まさし)
住 所:青森県青森市安方1-11-1尾崎ビル1階
連絡先:017-777-6345

青森県の特産品りんごの魅力を、全国に伝えたい。 りんごへの強い思い入れを持つ相談者のアイディアを、 商品開発から販路拡大までワンストップ支援で実現に導く。

公開日:
都道府県:青森県/業種:小売/課題:売上拡大

株式会社エイ・ワンド

代表者:高森 正志(たかもり まさし)
住 所:青森県青森市安方1-11-1尾崎ビル1階
電 話:017-777-6345

山田 貴弘
YAMADA TAKAHIRO

青森県よろず支援拠点

PROFILE

コーディネーター(中小企業診断士・JBIA認定シニアー・インキュベーション・マネジャー)

山田 貴弘 YAMADA TAKAHIRO

青森県よろず支援拠点

PROFILE

コーディネーター(中小企業診断士・JBIA認定シニアー・インキュベーション・マネジャー)

目次

  1. りんごの魅力に毎日触れて欲しい
  2. アイディアの種を商品に育てる
  3. 安全面の打開策が商品の独自性を高める
  4. 地元の顔となる商品へと成長

りんごの魅力に毎日触れて欲しい

青森市の中心部にある小さな土産物店「青い森わんど」。店内を覗くと、食品や化粧品、雑貨などがセンス良くディスプレイされている。一見、かわいい土産物店のように見える
が、実はここで扱っている商品はすべて青森県の特産物である「りんご」に関連するものなのだ。
店を切り盛りする代表者の奥様である高森暖さんは、健康や肌への効果から、りんごを「魔法の果物」と言うほどに思い入れがあり、「りんごを、もっと生活に取り入れて欲しい」と、平成22年6月に同店をオープンさせた。
高森さんはこれまでも、「りんご鹿角霊芝」を使った石鹸やレトルトカレーなどの商品を考案・開発しているアイディアマン。「りんごの加工品と言えば、ジュースやジャム、アップルパイといったものが頭に浮かぶが、おかずになる加工品がない」という気付きから、りんごを使った調味料をお土産物としてシリーズ展開していきたいと考え、自宅のキッチンで「りんご味噌」の試作に着手した。
しかし、それをどう商品化したらよいかがわからず悩んでしまう。
そこで以前、商品開発に悩んだ際に活用した公益財団法人21あおもり産業総合支援センターに、商品化に向けたアドバイスを求めたところ、当拠点と青森県農林水産部総合販売戦略課共催の「ABC相談会」を紹介され、試作品を手に相談に訪れた。

アイディアの種を商品に育てる

相談に対応したのは、食産業を専門とする当拠点のチーフコーディネーター加藤さんと、経営診断や創業支援を専門とするコーディネーターの山田さんだ。二人はまず、高森さんのアイディアを丁寧にヒアリング。「おかずになるりんごの加工品」という着眼点の独自性を評価した上で、食品加工の基礎や商品化までのプロセスを説明した。
相談に対応した山田さんは、「実は、商品の美味しさは本質的な課題ではない」と言う。その先の、安全性や採算性までをいかに確保するか、という点が重要になるのだ。
高森さんは「りんご味噌」をお土産物として常温で販売したいと考えており、いかに保存性を持たせながら安全性を高めていくかという点が喫緊の課題となった。
また「コストを抑えられる委託製造先の選定」「売り方」「資金調達」なども検討しなくてはいけない課題であることを確認した。
これらの課題に対し、当拠点内に在籍するコーディネーターが適宜連携をしながらワンストップで支援を行なっていく方針で支援がスタートした。

安全面の打開策が商品の独自性を高める

アイディアと技術的な課題に折り合いをつけるには、試作を繰り返す必要がある。まず当拠点から、工場を整備する投資負担を抑えるため、青森県内の企業に製造を委託することを提案。当拠点が構築しているデータベースから、小ロットの製造対応が可能で、瓶詰め加工に実績のある企業を委託先候補として紹介し、県内で委託製造できる仕組みを整えた。こうすることで、製造コストの削減を実現したのだ。
足元の体制が固まったところで、保存性が高く安全な商品を完成させるために、当拠点から紹介した公設試験研究機関の協力を得ながら、りんごをどのように味噌に混ぜ込むか、食感や殺菌条件、日持ちなどについて試作・試食を繰り返しながら検証した。
商品化する際に、最も高い壁となったのは、りんごを味噌にいかに混ぜるかという点。試作段階では、味噌にすりおろしたりんごのペーストを混ぜ込んでいたが、この手法ではどうしても保存性を高めることができなかったのだ。
苦悩する高森さんを救ったのは、「りんごはりんごと考えてごらん」という加藤さんの一言だった。
この言葉をきっかけに、原材料とするりんごは、りんごだけで調理することで安全性を担保し、その後に元々保存性が高い味噌に混ぜこむという方向に舵を切ったのだ。
高森さんはこのアドバイスを「まさに神の一声だった」と振り返るように、商品の保存性を高めたばかりでなく、独自性を持たせることができたのだ。
その後、高森さんは、女性ならではの視点を活かし、冷蔵庫のポケットに収まる瓶形状の選定や使いやすい内容量などに工夫を凝らしながら、新商品「りんご味噌」を完成させた。シリーズのネーミング「りんごde食卓」は、今後のシリーズ展開を踏まえ知財総合支援窓口の協力を受け、商標の選考情報を調査。高森さんには全国展開をしていく意向があったため、商標登録を行った。
売り方に関しては、首都圏の大型展示会に出展し、商談を行うことで、全国的に販路を拡大。さらに、拠点内のWEBを専門とするコーディネーターである八島さんから、自社HPへの誘導や、効果的なキーワード、ストーリーの配置方法などWEB販売の視点からも助言を行った。
資金調達に関しては、山田さんを中心に商品開発補助金、販売促進補助金などの事業ステージに応じた助成制度を紹介し、資金負担の低減に取り組んだ。

地元の顔となる商品へと成長

県内外のイベントなどにも出展したことも功を奏し、「りんごde食卓」シリーズは各メディアでも紹介され、人気商品となった。
随時商品ラインナップの拡充にも取り組み、現在は「りんご味噌」「りんごマヨネーズ」「りんごバター」など全7商品を展開。発売当初からの累計出荷本数は3万本を超えただけでなく、「りんご味噌」は青森県物産振興協会会長賞、「りんごマヨネーズ」は青森県特産品コンクール農林水産部長賞を受賞した。
さらに首都圏を含む全国の百貨店、海外からの引き合いもあり、快進撃は続いている。
「相談会では、真剣に想いをぶつけ、商品開発会議の場として活用している。私一人でも商品開発ができるのは、よろず支援拠点の皆さんとチームとして開発を進めていけるから」と笑顔で語る高森さん。「りんごde食卓シリーズの次なる展開として、大人をターゲットにした新シリーズも開発中です」、と湧き出るアイディアを実現するべく、着々と準備を進めている。
支援を担当した山田さんは「今後は、海外展開にも積極的にチャレンジしてほしい。このような成功事例を地域内に示すことで、挑戦したいと言ってくれる企業も増えてくる。高森さんには、そのリーダー的な存在になってほしい」と語る。
青森県内では、まだまだ活路を見出せず、疲弊する中小企業も少なくない。高森さんのような成功事例は、閉塞感の中から光を見出すきっかけになるはずだ。

支援の流れ
01
おかずになるりんごの加工品「りんご味噌」の商品開発を決意
02
製造コストを抑えつつ、保存性と安全性を高めていくことが喫緊の課題
03
委託製造と発想の転換で保存性・安全性を高めた「りんご味噌」の商品化を達成
04
累計販売本数は3万本突破。複数の受賞を果たし、全国展開する地元の人気商品へ成長
支援した拠点

青森県よろず支援拠点

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