柿酢という独自の事業価値をデザインの力で伝える | 中小企業・小規模事業者のための経営相談所 よろず支援拠点

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柿酢という独自の事業価値をデザインの力で伝える

「暮らしの中で、体調が悪くてしかめっ面をした人を笑顔にしたい」という想いで柿酢の醸造を手がける相談者。 販売のノウハウがない中で、いかに自慢の柿酢を届けるに至ったのか。

公開日: / 都道府県:千葉県 業種:製造 課題: 売上拡大

酢之宮醸造所

代表者:宮嵜 博之(みやざき ひろゆき)
住 所:千葉県香取市新部474-1
電 話:0478-79-6474

「暮らしの中で、体調が悪くてしかめっ面をした人を笑顔にしたい」という想いで柿酢の醸造を手がける相談者。 販売のノウハウがない中で、いかに自慢の柿酢を届けるに至ったのか。

公開日:
都道府県:千葉県/業種:製造/課題:売上拡大

酢之宮醸造所

代表者:宮嵜 博之(みやざき ひろゆき)
住 所:千葉県香取市新部474-1
電 話:0478-79-6474

相田 悟
AIDA SATORU

千葉県よろず支援拠点

PROFILE

コーディネーター(デザイナー)

相田 悟 AIDA SATORU

千葉県よろず支援拠点

PROFILE

コーディネーター(デザイナー)

目次

  1. 商品は完成すれども販売方法が決まらず
  2. デザインを中心とした支援という方向性
  3. デザイン・商品名・価格、統一したメッセージで届ける
  4. 販売数が堅調に増加 新たな引き合いも

商品は完成すれども販売方法が決まらず

千葉県香取市。自然豊かな里山に佇む、風情のある古民家。ここで、天然醸造にこだわり、柿酢を醸造しているのが、酢之宮醸造所だ。
食生活を根本から見直すことで、病を克服した代表の宮嵜さんは、天然醸造、酵素が生きた柿酢の力を強く実感。この経験から健康的な生活を願う人々に柿酢を届けたいと考えるようになり、酢之宮醸造所の前身である「楽健」を創業。奥様である杜氏の和美さんと二人で、柿酢の醸造を行っている。
当初は埼玉の自宅で柿酢の醸造を行っていたが、出来栄えが安定せずに悩んでいた。しかし、自然豊かな現住居に引越し、醸造を行ったところ安定した品質の柿酢が醸造できるようになり、商品化にこぎつけることができた。
初出荷を控えた平成27年4月、柿酢は完成していたもののパッケージや販売方法について何も決まっていなかったことから商品の販売方法についての相談を、佐原商工会議所に寄せたところ、当拠点を紹介され相談に至った。

デザインを中心とした支援という方向性

相談に対応したのは、当時、当拠点のサブコーディネーターを務め、現在は佐原商工会議所の相談所長を務める、水野さんだ。
水野さんは、初回のヒアリングで概要を把握した上で、後日酢之宮醸造所に訪問し、詳細な傾聴ヒアリングを行った。
その結果、宮嵜夫妻が商売の経験をしたことがなかったこと、事業への想いや商品をどのようにお客様に届けたらよいかを理解していないことが大きな課題として浮き彫りになったことから、「デザインを中心とした支援」を行うという方針を定め、当拠点のコーディネーターでありデザイナーの相田さんを頼った。
「商品の価値や作り手の想いを伝えるのはデザインの力。お客様に対して伝えるべきものを、まず作り手自身がはっきりと自覚するために、支援自体をデザインでマネジメントしたいと考えた」と、水野さんは狙いを語る。
そこで、宮嵜夫妻が決めていた、「商品開封後も酵母の活性を失うことなく発酵の進行を抑制するためのフレッシュスクイーズボトルの採用」「本当に必要とする人に、丁寧に伝え、直接届けていきたい」「商品の理解が十分でない第三者に販売してほしくない」という意向を尊重した上で、提案を行った。

デザイン・商品名・価格、統一したメッセージで届ける

宮嵜夫妻は、水すらも使わず、国産柿と里山の空気中にある酢酸菌だけで醸造した、極めて純度の高い柿酢を、健康増進と体調管理・改善の効果がある飲料として訴求することのみを考えていた。
当拠点は、それだけに限定することなく、医食同源の観点から「高級・高品質の調味料」という側面も強調することを助言。機能や効果という点だけではなく、「暮らしの中で、体調が悪くてしかめっ面をした人を笑顔にしたい」という作り手の想いもきちんとお客様に伝えることもアドバイスした。
商品名については、高品質な柿酢であることを表現した「柿の神髄」に決まった。その後、ほぼ毎日交わされるメールでのやり取りを通して、相談者の意向や疑問に丁寧に答えながら、相田さんと水野さんは宮嵜夫妻が揃って納得するであろうデザインを絞り込んでいった。
その結果、パッケージデザインについては、「柿右衛門柄」をモチーフとしたデザインを相談者が採用した。宮嵜さんは「提案を受けた瞬間、これだと思った。パッケージやデザインの大切さを思い知った」とデザインの印象を語る。また、「楽健」という事業所のネーミングでは具体的なイメージが伝わりにくいため「酢之宮醸造所」に変更し、それに合わせたロゴマークを提示することで、統一したメッセージを発信する体制を整えた。
さらに販売価格は、高品質であること示す重要なメッセージとして競合商品のなかで最も高い値付けにすることを勧めた。デザインを見て商品への自信を深めた宮嵜さんは、当拠点が想定していたより強気の販売価格を設定した。
販路に関しては、相談者の意向を尊重し、直接商品の説明ができるマルシェ出店を最優先させ、地元や成田近郊、東京丸の内のマルシェ等を徐々に開拓。フィールドマーケティングを通じ、お客様から頂いた声や、より深い商品説明を公開するためのHPを立ち上げる支援も行った。現在は重要な販路としてネット販売も機能している。

販売数が堅調に増加 新たな引き合いも

平成27年6月の販売開始以来、堅実に販売数を伸ばし、売上げは全体として増加傾向にある。
また、隣町の道の駅「発酵の里こうざき」での取り扱いが決定し、神崎町のふるさと納税返礼品に選ばれるなど、販路も着実に広がり、新たな取引の引き合いも増えてきている。
また、お客様とのコミュニケーションをデザインするという考えがなかった宮嵜さんだが、「これまで商品の中身をどうするか考えることにウェイトを置いてきたが、支援を受ける中で、形にしてしっかり届けることの大切さに気がついた。お客さんが棚の前で柿の神髄を見て、パッと手にとってもらえる瞬間が嬉しい」と笑う。
支援を通じ、商品の訴求ポイントを把握したことで、ターゲットの精査が可能になり、お客様への「アプローチの仕方」を仮説検証できるようになったのは大きな成果だ。
支援を担当した相田さんは「本事例に限らず、デザインを求めている中小企業の方は多い。相談者の想いをビジュアル化することで、メッセージが明快になり、相談者自身が新たな発見をされることも多い。そのお手伝いをすることで、一歩踏み出すきっかけになれればいい」と、デザイナーとしての立場から支援する意義を語った。
千葉県よろず支援拠点では、心理的、物理的に「お客様に近づく」をテーマにしている。本案件においても、地元支援機関との密接な連携により、相談者の想いをデザインして見せることで、一歩相談者の悩みに踏み込むことができたと言える。

支援の流れ
01
健康的な生活を願う人々に柿酢を届けたいと考え商品化を開始
02
柿酢は完成したが販売ノウハウがなくパッケージデザインや販売手法で頓挫
03
相談者の想いをとことん精査した結果、イメージ、メッセージ、パッケージの統一化に成功
04
売上げも堅調に増加。新たな販路開拓や引き合いも増える
支援した拠点

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